電龍組のキレキレダンス
ダンスバトルの先行は、電龍組だった。
名前に合わせた色の派手な衣装を着て舞台に登場すると、
鉢巻をし、手作りのウチワを持ったあいつらのファン、親衛隊による
凄まじいラブコールが巻き起こる。
「タツミ~ン」「アオ~イン」「ベニ~」
こ憎たらしいことに、あいつらも慣れたもので、手を振って
応じるではないか。アイドル気取りも、ここまでくると立派だな。
みんな、あいつらの本性を知らないもんね。悪魔だよ。
いよいよ、ダンスが始まった。選曲はいかにも今風のアイドル
オタクが好む曲で、振り付けも研究されて、キレキレでよく練習して
いると思うが、僕的には目新しさはない。
僕が振付師なら、それぞれが習得した武道の動き、技、型を
アレンジするのに、もったいない。いや、もっと本性をあらわに
喧嘩技をアレンジした方が、絶対受けると思う。
それでも、あいつらのファン、親衛隊は狂乱乱舞で、眼が完全に
いっちゃっている。
3分間のダンスは、あっという間に終わった。
アイツらが舞台から姿を消しても、会場の興奮は冷めやまない。
熱気がかなりコモっている。
「こりゃあ~、後攻の森 星明はやりにくいだろうなあ。」
僕は、人知れず呟いた。別に、心配してないけどね。




