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僕は 君たちの玩具じゃない   作者: 三ツ星真言
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華麗なる変装

「遅い。姉さんを待たせるなんて、いい度胸してんじゃないか。」

 「ちょっと、待って。約束の時間のちゃんと5分前に、

 来たんだけど。」

  祖父から厳しく叩き込まれている時間厳守と5分前行動。

  僕は、学校の裏にある荒れたお寺、極楽寺に約束の時間、

 午後7時半の5分前に来たのに、葵の発言、酷くない。

「馬鹿野郎。女と待ち合わせする時は、男が先に来るのが

 常識だろう。そんなことも、知らねえのか。」

  そこまで、言うか。紅子まで、僕を責める。

  そもそも、待ち合わせっていうロマンティックなものでは

 ないでしょ。決闘だよ。デートなんかじゃないし、僕は、

 君たちの彼氏ではないからね。

「まあまあ、逃げずに来たんだから、いいじゃねえか。

 それより、早く、こいつの変装にとりかかろうぜ。」

  龍美の言葉に、葵と紅子はイソイソと準備を始める。

  何だか、三人は新しい玩具を手に入れたみたいに嬉しそう。

 「こっち、こいや。そこに、座れ。」

 「じっとしてろ。絶対に、動くな。瞬きもするなよ。」

「息もするな。」

 「それは、無理でしょ。」

  バシッ

  「五月蠅い。」

  人の頭を何だと思ってるんだ。木魚じゃないぞ。

  簡単にカツラをかぶり、牛乳瓶みたいな眼鏡をかけて、

 マスクをするるだけの変装と考えていたのに、全然違う。

  ファンデーションから始まり、アイメイク、チーク、まゆ、

 リップと短時間だけど、本格的なメイクを施すではないか。

 「次、ウイッグな。」

 「ウイッグって、何ですか。」

  これ以上、何をされるのか心配になった僕は、尋ねた。

 「おまえ、ウイッグも知らないのか。ダサいな。

  カツラだよ。」

 「ほら、前を向け。」

  まったくもって、葵と紅子は口が悪く、扱いが乱暴だ。

  用意されたウィッグなるものは、黒髪のセミロングであった。

  100円均一ショップで売っているものとは違い、手触りと

 自然なスタイリングにかなりこだわった作りになっていた。

  何だかイケナイ気持ちになりそう・・・・。

 「最後、これに着替えろ。」

 「胸に、これをつけてっと。」

  渡された服は、うちの学校の制服だった。

  もちろん、女子生徒用。忘年会の余興じゃあるまいし、

 何でスカートをはかなければならないの。

  癖になったら、どうしてくれるんだ。まったく、プンプン。

 「できたじゃねえか。なかなか良く似合ってるな。」

  龍美が満足げに僕を眺めるので、葵と紅子は嬉しそうであった。

 「ほらよ、鏡。」

  龍美が、親切心だけじゃないな、悪意も混じった笑顔で、僕に

 鏡を差し出した。

  僕は、呼吸をするのも忘れそうになって、魅入ってしまう。

  鏡の中には、ヌードカラーのグラデで立体感のあるイマッポ顔で、

 吸い込まれそうなブルーの眼元で存在感を放つ知的でクールな

 美しい女子高生がいた。でも、どこかで見たことあるような・・・。、

  思い出せないが、スタイルも良く、スレンダー美人だ。

  これぞ、華麗なる変装だ。

  肝心の胸はと思い、制服の上から両手で触ると、思ったより

 柔らかいけど、三人よりサイズが小さい。Bカップだな。

  龍美は推定Cカップ。葵はDカップか。紅子は意外とEはあるな。

  絶対に、わざとだよな。

 「何だい。お前。不服そうな顔して。」

 「おまえも、巨乳好きか。このスケベが。」

  この野郎、人を玩具にしておいて。そこまで、言うか。

  心の中で、葵と紅子の頸動脈を締め上げて、おとしてやった。

 「違いますよ。心臓を攻撃されても、大丈夫なのか

 チェックしてたんですよ。」

 「まっ、そういうことにしておいてやるよ。じゃあ、行くか。」

  龍美まで、僕に疑いの眼を向ける。酷いよ、泣きたくなる。

  それより、疑問に思った。

 「あれっ、葵さんと紅子さんは行かないんですか。」

 「当たり前だのみつよ。決闘は、一対一と決まってんだろう。

  三対一は、卑怯ってもんよ。」

  ここでブラジルのグレイシー柔術の生みの親とも言える

 前田光世みつよ、講道館柔道七段の名前でボケるか。

  いや、そんなことより、一対一とは、なかなか潔い。

  流石、元全中柔道の覇者だと言いたいけど、何か不思議。

 「あのう。それなら、助っ人なんか、要らないのでは。」

 「あちゃあ~、それを聞くか。」

 「まったく、デリカシーがないな。この男は。

  姉さんは、オバケとかに弱いんだよ。」

 「そう、そう。誘ってもお化け屋敷なんか、絶対に行かない。

  暴走族のたまり場に喧嘩を売りに行くくせにな。」

 「うるさい、それ以上、言うな。お前ら、早く帰れ。」

 「へ~い。」

 「姉さん、ご武運をお祈りしてます。」 

 「コンドウム、頼んだぞ。」

  葵と紅子は両手を大きく振りながら、去って行った。


  

 

 

 

 

 

 

   

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