ランチタイムに
「キャア~、武様。」「星明様~。」「素敵~。」
「こっち、向いてください。」
昼休みになって、中庭の池の前のベンチで仲良くお弁当を
食べている二人を見て、全校生徒と言っていいだろう、
みんなが騒いでいる。
「悔しいけど、お似合いのカップルだよね。」
購買部で焼きそばパンと牛乳を買ってきたタックンが、
僕の机の前に座る。
「悔しいって、もしかしてタックンも、森 星明のファンなの。」
僕は、祖父お手製のお弁当を食べながら、聞いた。
「男だったら、当然だろう。リー君は、どうなの。」
「僕も、世間並かな。」
「僕たち、気が合うね。」
僕たちは、焼きそばパンと焼きサバで乾杯の真似をした。
いくら親友とはいえ、今晩、デビルドラゴンと星のビーナスが
決闘すること、よりによって僕がデビルドラゴンの助っ人で
参加するなんて、口が裂けても言えなかった。
知られたら、タックンに絶交されるだけじゃなくて、男子生徒
全員を敵に回してしまう。いや森 星明を慕う女子生徒も多いぞ、
コンカツも隠れファンみたいだし、わ~あ、どうなるの。
僕の立場、めっちゃ悪いやんか~。
僕の胸の中はハリケーン並みに吹き荒れる。
「どうしたの。どこか、具合が悪いの。」
「いや、焼きサバの骨が歯に刺さったみたい。大丈夫、今、とれた。」
僕は、慌てて誤魔化した。