表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

独身社員の夕飯グルメ

作者: サメサメRPG

「今日も疲れたなあ、お腹もグーグーなってるよ・・・」

とある会社に勤める日比谷恭介は、お腹を擦りながら呟いた。

「冷蔵庫には何もなかったよな。仕方ない、何かスーパーで買って行くか」

行きつけのスーパー、ヤマソトに向かうことにした。

スーパーに着くと、彼はすぐに店内の商品を物色し始めた。

「むう、野菜が安いな!だが今日は野菜の気分じゃない。ガッツリいきたいんだよな・・・肉だな」

そう言うと、精肉コーナーへと足を向ける。

牛、豚、鳥、基本的な肉は揃っている。あとは何にするか選ぶだけだ。

「豚も鳥も捨てがたいが、奮発して牛にしよう!このステーキ肉なら美味しそうだ」

値段の割に、さしの入った霜降り肉を手に取ると、満足そうにかごの中に入れた。

「後は・・・いいか、家にあるものでどうにかなるな」

恭介が買ったのは、半額シールの貼られた、ひときれ千円の霜降り肉であった。

「楽しみだ、早く帰ろ♪」

お会計を済ませると、恭介は足早に帰路についた。


恭介は自宅に着くと、扉に鍵を差した。

ガチャっと音を立てて、自宅の扉が開いた。

「ただいま、まあ誰もいないけどね」

そんな事を言いながら、恭介は家に入って行った。

「さあ、肉が俺を呼んでいる!」

買い物袋から、霜降り肉の入ったパックを取り出すと、ラップを剥がしていく。

まな板の上に肉を置き、塩胡椒で味付けをしていく。

「後はにんにくを切ってと」

冷蔵庫からにんにくを取り出すと、トントントンとリズミカルにスライスしていく。

フライパンに火をつけ、温まったところに牛脂で油を敷いていく。

瞬く間に油が溶け、フライパンがコーティングされていく。

その中ににんにくを入れ、きつね色になるまで炒めて、香りを出していく。

「うーん、いい香りだな。これぞガーリック!て感じだな」

きつね色になったにんにくを取り出し、いよいよメインの霜降り肉を焼く時間がやって来た。

恭介は下味をつけた肉を手に持つと、ゆっくりとフライパンに入れていく。

ジューと音を出し、次第にジュ!ジュジュ!とミートソングを奏で始めた。

軽く焼き色がついたら直ぐにひっくり返す、いい肉だからさっと焼くだけでいい。

霜降り肉は表面はこんがり、中はレアに仕上がった。

恭介は皿に肉を盛りつけ、先ほど炒めたにんにくを上にのせた。

芳しい香りが鼻腔を刺激する。

「ああ、もう我慢出来ん、いただきます!」

そう言うと、右にナイフ、左にフォークを装備して霜降り肉に襲い掛かった。

ナイフが肉に食い込む・・・事もなく、スーっと切れていく。柔らかく、ジューシーなステーキにナイフの鋭さは必要なかったようだ。

恭介が切った肉にフォークを突き刺し、持ち上げた。

表面は香ばしく、中からはピンク色の断面が「こんにちは」をしている。

ぱくり!と、勢いよく頬張った。

噛む度に、肉汁が湧き出してくる。固さなど微塵もなく、数回噛むだけで口の中から「さよなら」していった。

「かあ~旨い、旨すぎる!」

恭介は舌鼓を打ちながら、ひときれ、ふたきれと口に運んでいく。

「おっと、いかんいかん、このままじゃ全部食べちまう」

そう言うと、炊いてあってご飯をどんぶりに盛っていく。

「お腹ペコペコな俺にはこれだよな~」

恭介はご飯の上に、残りのステーキを「ライドオン」し、そして仕上げに、ステーキソースを一周掛けた。

「特製ステーキ丼の完成だ!」

無骨だが、見ただけで旨さが伝わってくる一品だった。

「こいつの食べ方は、やっぱ掻き込まないとな!」

どんぶりを掴むと、一気にステーキ丼を掻き込んでいく。

柔らかい肉とステーキソースの「ハーモニー」そしてそれを受け止め、混ざり合うご飯の「コンビネーション」。更ににんにくが味を引き締め、昇華させる「ファイナルアタック」、もう言うことはない。

空になったどんぶりが机の上に置かれた。

「旨かった」

たった一言だけの感想だった。

本当に旨い物に、ことばはいらないのだ。

恭介は思う、旨い物を食べるために生きているのだと。

そして、そのために明日も頑張れるのだと。

「明日も仕事頑張るかな、ごちそうさまでした」

恭介の毎日はこうして過ぎていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ