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第十七話





「これより弾劾裁判を開始します」




おごそかにルーシアが宣誓する。




「被告人中御神真人は真実のみを述べ決して虚偽の答弁をしないことを誓いますか?」




「誓います…………ルーシア……これ、本気で続けるの………?」




真人には何故ルーシアとシェリーが般若のような形相でこんな弾劾を始めたのか理解できない。


もっともシェラとプリムは苦笑いとともにルーシアたちの弾劾を受け入れていたのだが。




「…………おとなしくお座りください。真人様………このオルパシアではロリコンに人権は認められていないのですヨ?」




たおやかな笑みとともに真人の肩に手を置くシェリーだった。


口元はたしかに笑っていてもその瞳は氷原のブリザードのごとくどこまでも冷たく輝いてる。




「被告人中御神真人は昨夜、奴隷であるシェラフィータ、プリムローゼの両名に淫らな行為に及びましたね………?」




「異議あり!」




どうしてそういうことになる!?全く事実無痕とも言えないが、オレはそこまで鬼畜じゃないぞ!




「参考人シェラフィータ……被告人の証言は事実ですか?」




うっすらとシェラがいたずらっぽい微笑を浮かべるのが真人にはわかった。


そして彼女がおしとやかそうな外見とは裏腹にお転婆でいたずら好きなのを思い出して祈るような思いを目で訴える。




…………………タノムカラタスケテ




好奇心いっぱいのキラキラした目があえなく返事を告げていた。




………………………イヤ♪




「一緒にお風呂に入るのは淫らな行為にあたるのでしょうか?」






「「もちろんです!!」」






………………………………………死んだなこれは…………




真人は諦念とともにやってくるであろうルーシア・シェリーの折檻に耐える覚悟を固めた。




「検事シェリー、求刑を述べなさい」




「決まっています!女の敵には死を!」




涙目でシェリーとルーシアが拳を鳴らす。


おいおい、それは淑女としてどうなんですか?




「お兄ちゃんをいじめないで!」




「お」


「兄」


「ちゃん?」




「あ、今はご主人様でした〜えへへ………////」




一斉に注目を浴びたプリムは顔を真っ赤に上気させながら照れ笑いを浮かべた。


お兄ちゃん……その甘い響きに陶然とする真人をとりあえず殴ってルーシアはプリムに向き直る。




「プリムちゃん。どうして真人が”お兄ちゃん”なのかな?」




「プリムとお姉ちゃんは奴隷小屋でもうちょっとで死ぬところをご主人様に助けられたの。しかもどんなお医者様でも治らないっていわれたお姉ちゃんの足も治してくれた………だからお姉ちゃんと相談して、恥ずかしいけどお風呂のお世話と夜伽をして少しでもご恩を返そうって

言ってたの。でもご主人様はそんなことしなくていいって。私たちはもう家族になったんだからこれからはご主人様をお兄ちゃんと呼んでもいいんだって言ってくれたの。ご主人様は何もエッチなことしてない、だからご主人様をいじめないで!?」




プリムから昨夜の真相を聞かされたルーシアとシェリーの顔から一筋の冷や汗が流れて落ちた。




「被告人ルーシア・シェリー言い訳があれば述べたまえ」






「「本当は真人(様)を信じていたわ(ました)!」」






「うそをつけ!」






真人は思わず間髪おかずに絶叫した。










「「うう〜ごめんなさい…………」」




真人に罰としてルーシアとシェリーは正座させられていた。


畳など存在しないこの国では正座はかなりきついようだ。




「反省したか?」




「したした!反省しました!」




伯爵令嬢とも思えぬ言葉使いでルーシアが正座の解除を求める。




「じゃあ戻ってよし!」




「「あ、足が痺れて立てない〜!!」」




慣れない正座で足を痺れさせて転がりまわる様子に真人も姉妹も声をあげて笑った。


パンツ姿のルーシアはともかくメイド服のシェリーはいささか目の毒だった気もするが…………










「ふ〜ひどい目にあった」




「お互い様だ」




ようやく落ち着いて朝食が食べられるようになったのは九時を回ってからだった。


シェリーが持ってきてくれた材料でさらに品数が二品ほど増えている。


シェリーは最初メイドは主人といっしょに食事などできないと言い張ったが、ここは家族の食卓であり、ルーシアとシェリーは対等の客人だということで押し切った。


今では苦笑しつつも、ルーシアの隣で舌鼓をうっている。




「………………これは美味しいわ………特にこのスープ……お店でお金が取れるわよ………」




「あ〜それはですね〜」




プリムがニヤリとシェラを見て笑う。




「あっ!プリム、それは……!」




羞恥に顔を染めて妹の発言を止めようとするが相手が悪かった。




「なになに!?何か特別な理由でもあるの?」




身を乗り出して野次馬根性全開のルーシア。本当に君は伯爵令嬢なのか?




「うちのママはパパのハートを射止めるためにパパの好物だったスープの腕を磨いて特製のスープを作り上げたの。狙った男を一撃で落とす名づけて必殺スープ!」




「必殺スープ??」




熊でもコロリと殺せそうなのは気のせいだろうか?




「そしていつの日か自分も狙った男の人のハートを射止めるためお姉ちゃんはスープの腕を磨いてるのでした〜!」




「もう………プリムのばか!後で覚えてなさい!////」




(それって聞きようによっては真人のハートを射止めるために出したとも受け取れるんじゃ……)




(ほぼ間違いありませんわ……プリムちゃんはともかくシェラさんは要注意ですわね………)




また場の空気が不穏になってきたのを察した真人はなんとか話をそらすべくルーシアに話しかけた。




「そういえば今日は何のようだったんだ?」




真人に言われてようやく思い出したようにルーシアの目が瞬く。




「ああ………昨日は時間がなかったけど傭兵の登録をしにいってもらおうと思っていたのよ…………」





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