家族のもめごと その二
目が覚めた。
それにしても気分の悪い夢だった。
もうあの夢は見たくないな・・・
あっ
手遅れだった。
どうやら俺はまた伯母を殺めてしまっていたらしい。
先ほどの様に弟が追いかけてくる。
俺はまた必死に逃げるが為す術がもない。
慣れてしまったのか、すぐさま自決を試みる。
意識が遠ざかる。
次こそは罪のないルートを選ぼう・・・
そんな意志も虚しく、目が覚めると共に弟が追いかけてくる。
そうか、家の外に逃げればいいんだ。
急いで玄関から飛び出す。
それに続いて弟も出てくる。
次の瞬間目を疑った。
これまで出てこなかった父親も出てきたのだ。
後ろから襲いかかる恐怖に俺は慌てて塀を伝い屋根にのぼる。
二人は上ってこない。
逃げ場は無いのに勝ちを確信した。
だが何故か家の中に戻された。
俺は困惑していたが、弟が追いかけてきたので何とか意識を現実に連れて来れた。
伯母の部屋へ行き、カッターナイフを手に取る。
刃を出し迷うことなく心臓に突き立てる。
しまった、緊張で上手く行かない。
狙いが外れ、全て脇腹を掠める。
弟と父親が部屋に入ってきた。
夢の中では不思議に思わなかったのですが、私に弟はいません。