箱があります
あなたの中に
箱があります
ちいさな鍵付きの
箱があります
あなたの中にねむる 箱
いまだ その中身を しらないあなた
そしてぼくはあなたに その箱を
あけてもらいたい と ねがう者です
あなたは ひょっとすると
箱のことを
しらないかも しれません
あなたは もしかすると
箱なんてないよ と
知らん顔するかも しれません
どうせ中身は からっぽだよと
箱に手も触れず
せせら笑うかも しれません
それとも あなたは
いつか 箱を おそるおそる
あけるかも しれません
あなたが 産まれるまえから もっていた箱
別に無理にとは言いません
でも
どうでしょう ここはひとつ
思い切って 開けてしまっては
無責任なようですが
中になにが 入っているのか
それは ぼくにも 分かりません
あなたは
あんまり いいもの 入ってないなと
思うかも しれません
それでも どこかの国の神話みたいに
一番底には
善きものが ひとつだけ 入っていると
ぼくは 信じるのです
少なくとも
きっと 誰の 箱にも
あなたの 箱にも
だから ぼくは
あなたに ぜひとも
その箱を 開けてみてほしいと 願っているのです