とある子猫の短い命~事故~
捨て猫。その多くが、大人になることなく散っていくのをご存知ですか?
はじまりは、真っ暗。はじまりは、あたたか。
やさしくて安心する、ぬくもりに包まれていた。
にゃあ
ボクは、ここに生まれました。
ふんわりあまいミルクをねだって、なめてもらえると嬉しくてゴロゴロしちゃう。
甘えて、まわりの子たちよりうんと甘えて。
そこでは愛と幸せに溢れていたんだ。
でも、どうしてかな?
なんでかな?
今、あのやさしいぬくもりは、ここにはいない。
どうして?なんで?寂しいよ、おかあさん。
どこ?どこにいるの?
何で来てくれないの?
こんなに呼んでいるのに。
さむいよ、こわいよ、はやくボクらを抱きしめて?
ないて、ないて、助けを求めて。
呼んでも来てくれなくて。
どうして?いつもなら直ぐに来てくれるのに。
この向こうにいるの?
あいたいよ、おかあさん。
ボクらはボクらを踏み台にして、ここから出ようともがく。
がたんと世界が倒れた。
まぶしい光が見える。
あのむこうにきっと、おかあさんがいる!
一目散に光の中に飛び出して、おかあさんを探そうとした。
だけど無理だった。
なんでかな?
ききー!!って大きな音が聞こえたと思ったら、ボクのからだはぽーんって飛んでいた。
いたいと思ったような気がするけど
あとは真っ暗に染まっていくだけだった。