あいつが僕の幸せかつスリーピーな時間を邪魔しやがる!!
ある町にはドラゴン(二匹)と一人の魔術師(少年)がいた。
二匹のドラゴンはとても強くて全ドラゴンの憧れ、
魔術師は水系統の術をたやすく使いこなす。
ほとんどパーフェクトのチームだった
ほとんどは……ね。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
大きな叫び声がこだまする。
この世界でいう今は深夜の約1時なので隣の商店街にいい迷惑だ。
「うるっさいなぁ、静かにしてよ・・・」と、同じ部屋から声がする。その言葉の中には怒りが混じっているようにも聞こえる。その数秒後、一匹の叫び声が聞こえた部屋の隣から聞こえる素晴らしく荒々しい足音が廊下にけたたましくどすどすと響く。
数秒後、大きなドアが開かれ一人の少年が入ってくる。
「煩いな!何があったんだよ、ラージ。」
一匹のドラゴンが真夜中に大声を出して、その宿に泊まっていたもう一匹のドラゴンと少年が起きてしまったのだ。あいにく、この宿にはこの二匹と少年しか泊まっていなかった。
宿はもう設立してから百年以上経っているかどうかわからないぐらい古くて、町の人々は気味が悪いと近づきたがらないのだ。
「で、なにがあった。そんまひ大声出しやがって・・・」
「いやいや、だってね!?し、し、し、下に・・・・・・!!!!!!!」
しどろもどろに話すラージにしびれを切らしたのか、少年が水風船を作り出し、ラージの頭にかけた。
「パシャン」と、小気味いい音が響く。「しっかりしろよな。お前は、竜の中の最上階クラスを目指しているんだろ?」
少年がやれやれ、と首を振りながらため息をついた。
ラージは反省したのか、首を落とした。
「ごめんなさい。でも、何時ものビビりじゃ、なくてね?レオ、君が来たから、僕は助かったんだよ?」
チラッとこちらの機嫌を伺いながら話す言葉に、少年____レオが疑問を持った。
「おい、なんで僕が来たから、助かったんだよ?」
ラージは困ったように汗を吹きながら白状した。
「ええーっとね、言い辛い事なんだけど……怒らない?」
「ああ。なんだ?」
「そのぉーー、レオの あ、足、の下にーー、、、」
意味深なラージの声に疑問を持ち、足の下、という言葉に興味が沸いたレオはゆっくりと足を持ち上げた。
すると、どうだろう。
レオの顔色はどんどん悪くなって白くなっていった。
「あのぉー、レオの足の下に、ガルブロが………」
「うぎゃあああああああ!!!ガルブロ!!!!!」
そう言って、跳び跳ねたレオのことをごめんなさい、ごめんなさいと謝るラージの姿と、すでに(スヤァ……)と寝ている黒麿ドラゴンの姿はどう見ても可笑しかった。
※ガルブロ…この世界で言うゴキブリ