毒舌少女と筋肉
「ここら辺で一番高い山の名前ってなんだっけ?」
『公園の砂場にあるやつでしょ?』
「それは砂山であり、決して高くねえよ寧ろ一番低いよ!」
『じゃあ、そこ窓から見えるあれ』
「あれは丘だ」
『何言ってるの? 彼は岡田君じゃなくて山田君よ』
「あんたこそ何言ってるの!?」
『え? 山田君の顔の黒子で一番大きいのはどこって話でしょ?』
「もはや話の内容が原型とどめてないよ!」
『失礼な、山田君の顔は確かにあれだけど原型をとどめてないほどでもないのよ。山田君に謝りなさい』
「いつの間にか俺が悪いことになってる!? って、おまえの言い様も大概酷いぞ」
『大丈夫、山筋ファンクラブの幹部に友人がいるから』
「なんだそのグループ!」
『山田 昌の筋肉ファンクラブよ、胸筋派と腹筋派がいるらしいわ』
「(山田の名前って、昌だったのか……)なんかマニアックなファンクラブだな」
『ちなみに会員は二名のみ』
「少な!」
『私は名誉顧問よ』
「ふぁ!?」
『ジョークよ』
「……サラッと怖いこといわないでくれ」
『そんな山田君に私は昨日、愛の告白をされたわ』
「まじ?」
『ええ』
「ジョークよ、ではなく?」
『ええ』
「で、で? 返事はなんと」
『今あなたを愛してみようと思ったけど、どうやら私はあなたの外側広筋しか愛せないみたい。だから、ごめんなさい。
だったかしら』
「…………哀れな山田」
『本当にね』
「あんたが言うな!」