毒舌少女とアルバイト
ゴキブリ男爵・日曜の朝にやっている子供向けアニメの敵キャラ。主人公に何回もやられても、その生命力で何度でも復活する。
因みに、30人もいないらしい。
「おーい」
『……』
「……おーい!」
『……』
「なんか反応してくれよー」
『…………チッ』
「舌打ち!?」
『あらあら、秋野君ではありませんか。どのようなご用件でしょう?』
「なんか口調がおかしいぞ!」
『五月蝿いわね。テスト前日なんだから、あなたも勉強しなさい』
「……俺はテスト前は勉強しない主義なんだ」
『……』
「だ、だってさ、テストって実力を図るものだろ? テスト前日に必死に勉強しても、それは自分の実力じゃ……ないし……ね?」
『 テスト前に一点でも多く稼ごうと努力しない者が、評価される道理は無いわね』
「うっ……すいません」
『はぁ……まあ、いいわ。私はもう休憩しようと思っていたし、秋野君の成績が下がれば万々歳だしね』
「何気に酷い!」
『テスト勉強している人に話しかけて妨害することは、酷いことでは無いと?』
「なんだろう、この会話。凄いデジャヴュを感じる……」
『まあ、他の人にも言われたの。筋金入りね』
「あんたにだよ!」
『というか、秋野君はまだ私の名前を覚えてないのかしら?』
「え、流石に覚えたよ。わざわざ先生に聴きに行ったし」
『ほう』
「えーと、キラリだっけ」
『Fuck you!!』
「ふぇ!?」
『秋野君はお馬鹿さんだということが良くわかったわ。確かにそう読めなくも無いけど、そう読む人がいるとは思わなかった』
「え、えーと、ごめん……」
『だいたい、出席の時にいつも呼ばれているじゃない』
「……いやー、その時は大抵寝てるし」
『でも返事はしてるわよね』
「あれ、隣の席の山田君の声だよ。彼、声真似が上手なんだ。お昼にパンを買ってきてあげるのを条件にお願いした」
『……あらあら、そんなに眠いということは夜な夜な口では言えないようなことに明け暮れているのね。嫌らしい』
「いや! そんなことしてねえよ!」
『なら、どうして?』
「あー、えー……と……」
『秋野君は夜な夜な◯◯◯に明け暮れていると……一斉送信』
「やめろ!」
『なら、言いなさい』
「じ、実はアルバイトしているんだ」
『アルバイトって、確か校則違反よね』
「だから言いたくなかったんだよ……あの、このことは」
『……はぁ、わかったわよ。二人以上には広めないわ』
「そこは、誰にも言わないわ。じゃ無いの!?」
『まず、妹さんに報告と、さっちゃんに教えるわ』
「どうかやめてくださいお願いします!! 特に妹には!!」
『……んー、いいわ。一つ条件があるけど』
「命だけは! 命だけはお助けを!」
『秋野君の命なんていらないわよ。一銭の得にもなりやしないし』
「それもそれで嫌だな、こう、もっとなんか……」
『あなたのアルバイト先を教えて』
「スルーですか!?」
『教えて』
「……駅前のコンビニ。って、聞いてどうするんだよ」
『たまに冷やかしに行くわ。さて、もう帰るから、戸締りはよろしく』
「そういえば、あいつの名前は結局どう読むんだ……?」