001 き、記憶がないっ!?
いきなり残酷描写をぶっ込むこの話。
「・・?」
ここは・・?暗くて何も見えない・・。俺はいったい・・誰だっけ?思いっきり忘れてるみたいだな・・。するとあれか、知識としてしか分かんないけど記憶喪失ってやつかな。うん。だんだん意識がはっきりしてきた。けれど明るくならない。というか目を開けてなかった。・・もしかして俺ってバカ・・?
目を開けるとそこは赤い色で埋め尽くされている世界だった。
「・・え?」
なんだ・・?何故ここはこんなにも赤いんだ・・?赤すぎる。不自然なくらいに赤すぎる。
何かを知りたいならまず行動。そんな言葉が頭に浮かびあがる。俺はゆっくりと歩き出す。なぜこんなにも赤いのかを調べるために。
しばらく歩いていると、足が何かを蹴った。・・穴があいているところがあるような感触があった。目を下に向けてみる。すると、そこには――
――すでに虫がたかり始めている何かの生物の頭だった。
「うげぇええ……」
思わず吐いてしまった。・・その中に具が入ってる。ということは、記憶を失う(まあ元からないこともあるかもしれないけど)前に何かを食べていたことになる。・・対して使えそうな手がかりではないな・・。
「というか、もしかして・・ここってさっきまで戦いの場だったのか・・?」
他にも同じような死体が転がっていた。でもよく見ていない。吐きそうだったから。
「それなら、ここにはもう居たくない・・。」
まだこの世界を作り上げた犯人がいる可能性もあるしね。それに、こんなところにいたって自分の記憶が帰ってくるとは思えない。ならば、どうするのか。そんなの決まってる。
記憶探しの旅だ。
「えっと・・ここどこ?」
意気揚々と走りだして、現在森の中。迷った。以上。
こんなに冷静に分析できるとは・・。前はわりとすごい人だったのかな・・?まあ自分をほめてるみたいでめっさ恥ずかしい。
「う~ん・・。それにしてもおなか減ったなぁ・・。」
何か食糧を調達しなきゃ・・。あ、目の前の木に果物がっ!!俺は猛ダッシュで木をかけのぼって果物をとり、口に入れた。
しぶうううううっ!!!!!これ渋柿か!!渋っ!!
「お~なかへって~日がおっちる~♪・・はぁ・・。」
洞窟の中。そうそう、服を確認したんだけど、これって昔の男の子が祭りとかできている奴なんだよね・・。そうそう、今ね、おなかが減ってるのを歌でごまかそうとしたけれど、出来なかった。しかも逆にむなしくなった。・・もう日が落ちてきたし、寝るとしようか。俺はその場で横になった。おやすみ~。
「うわあああああああっ!!!!!」
「!?」
なんだ!?今の叫び声はいったい・・?急いで跳ね起きて声の出所を探した。
「だれかああああっ!!!!!」
おや近い。ならついでだから助けてあげちゃおっかな?というわけで走っていこ~う。
「へっへっへ。おとなしく出すもんだしなぁっ!」
「うわぁああああああ!!!!!」
「いつまでも騒いでんじゃねえっ!!」
げしっ!ふみふみっ!
「ぴー!ぴー!」
「さらに騒ぎ出しやがった!?こんにゃろおおおおっ!!」
「ちょっと待ったあっ!!」
「何っ!?」
月をバックに現れる。その名も俺っ!(仮決め)・・かっこ悪い。しかも大声で今と同じ内容をしゃべっちゃった・・。実は俺ってバカ?(ころころ変わる)
「生意気なガキだな!!」
おそらく盗賊さんたちかな?ならぶっ飛ばしたって文句ねぇよな・・?
棍棒みたいなのを振りかぶってくる。って、あれ?なんか意識が・・ってこの状態でなのね・・。
「ん・・。」
「あ、やっと起きましたね。」
「ふぇっ!?」
そこには散々大声をあげていた少年・・かな?がいた。いやだって?マークになるのもしょうがないじゃん!!だって動物の耳が頭から生えてるんだよ!?俺の記憶ならなにも生えてなかったはず。ちなみに服はいかにも村人って感じの奴。・・説明下手ですみません・・。
「み、耳ぃっ!?」
「?耳がどうかしましたか?いたって普通ではないですか。」
と、獣耳を触りながら言う。しょえ~・・。それが普通なんだ~。
「それより、まさか救世者がこのような所にいらっしゃったとは!!この「佐久間 達人」、猛烈に感激中です!」
・・はい?
「・・達人くんや。僕は別に救世主でも何でもないんだよ?」
さすがに俺はまずいかなとなんとなく思って僕に変えてみたんだけど、なんだかこっちのほうがしっくりくる。いろいろ試すのは大切だね。
「へ?何を言ってらっしゃるのですか?その竜の角に耳、そして羽に尻尾までついてりゃ伝説の通りの救世者様ですよ?」
・・はい?あわてて今出てきたものを探してみる。
全部あった。
・・ってか竜の耳ってえらっぽいと思ってたけど結構とんがってるのね。羽も痛覚とかそんな感じのなかったし。色は青。・・思ってた色と違う。というかこんなんついてたっけ?まあ記憶がないからわかんないけど。
「・・どうかしましたか?」
どうしよう。これは正直に言うべきか言わないべきか。困る。まじめに。・・やっぱり正直に言おう。
「実は、僕記憶がなくてさ。それにこんなんがついてたどうかも分からないんだ。」
「そうだったんですか・・。でも、その耳とか尻尾とかは私のと同じようにあとから生えてくるもんなんですよ。赤ちゃんのころは誰にも生えてません。」
ふみゅ~・・。もうわけわかんない。
「どうせなら、私たちの村に来ませんか?」
「あ、行く行く~。」
なんか楽しそうだし~♪まともな物食べれそうだし~♪
「では、こちらです。」
「ほいほ~い♪」
こうして僕の記憶探しの旅は始まるってね!・・ってか救世者って?
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