表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/60

7話 「ヴァンパイアは太陽が苦手です」

門星学園 学園長室


学園長「えーッ!階段で来たの!?そりゃ熱も上がるよ。」


俺「っていうか、魔法陣中土地なんてあったんですか…魔法陣って僕にでも使えたんですか…」


、学園長「…まぁ注意してなかった私のせいでもあるけどね…」


俺はソファに寝かされて、学園長は執務椅子に腰をかけて話をする。

この文だけではかなり態度が悪く見えるが、階段のせいで熱が上がったようだ。


学園長「私はヒール使えないからなぁ。コロボックルならいい薬があるかもしれないな。」


再びお世話になるようだ。


学園長「それで?」


俺「え?」


学園長「用がなくちゃ来ないでしょ。階段で来たのなら尚更。」


俺「…はい」


さて、ついにいう時がきたか。


この校風を考えると、かなり無理があるかもしれないが…まあ頼むだけ頼もう。


俺「俺…一人妹がいるんですよ。」


学園長「うん、そうだったね。」


俺「両親は海外に行ってて、ここに来るまでは二人三脚で頑張って暮らしていたんです。」


学園長「…。クトゥルルイアイア」


俺「ま、待ってください!意味もなく邪神呼ぶのはやめてくださいっ!」


学園長「冗談だよ。それで?」


俺「転入はさせなくてもいいです。だから、せめて俺の部屋で暮らせないですか?」


学園長「つまり、妹思いのシスコン兄さんが妹と同じ部屋で同じ時を過ごしたいと…」


うっ…何も言えない…


学園長「でもまぁ、家族無しで一週間過ごすのも可哀想だし…ま、特例として許可しましょ。」


…ん?


いや、今許可の降りた音が聞こえたような…


俺「…?、???」


学園長「どうしたの?許可したんだよ?」


俺「えっと…こ、こんなあっさりでいいんですか?」


学園長「いいよー。校則にも法ってるからね。っていうか転入しちゃいなよ。」


俺「あ…あ…」


学園長「?」


俺「ありゃ…ありあ…ありがとうございますぅ…」


涙ながらに感謝する俺。

足痛いから引きずりながら手を握る。


学園長「なんか重い感謝だなぁ」


正直苦しいだけなのだが、そう思われたのなら好都合である。


学園長「じゃもう日も暮れたし戻ろうか。」


俺「え。」


蘇る恐怖。


学園長「ははは大丈夫だって、送ったげるから。場所は?」


俺「えっと、2105です。」


学園長「ふうん、若い番号だね。」


4ケタで若い番号ってことはもっといるのかここの生徒。


学園長「……。」


俺「…?どうしましたか。」


学園長「クトゥルフイアイア…」


すぐに学園長の手を離す。


俺「な、何呼んで…!ダゴン様は勘弁」


学園長「…あははは!」


なんか笑われた。

戦神が邪神を呼んだのだからビビるだろ。


変な顔をしていると学園長は答えた。


学園長「いやぁごめんごめん、本当に君は他の種族について詳しいんだね。」


俺「詳しいっていっても、容姿とか伝説、内容だけですが…」


学園長「充分だよー。ま、それが聞きたかっただけ。じゃ飛ばすよ?あとでコロポックルにも行かせるから。」


そういって僕の肩を触ると後ろに突き飛ばされた。


「うわぁっ!」


しかし、尻餅を着いたのは学園長室ではなく自室のベッドの上だった。


どうやら本当にワープしたらしい。


しかし、考えてみる。


昔見た映画のことだ。

あのハリーがワープを経験したとき。

その時に感じたのは…


「うっ…お、おおぅ…」


こみ上げる何かが俺を襲う。

胸の奥から湧いてくるようなこの感じ。

間違いない。


嘔吐感だ。


とりあえず、トイレに行きたいが少し遠い。


多分立ったらすぐに吐くだろう。

ならどうすれば…


ふと横を見るとカバンがある。

そうだ。ビニール袋とかゴミ袋があるかもしれない。


漁ってみる。


……

…………


見つかった、カップ麺を入れていた袋である。


とりあえず、ここに出すことにしよう。


袋を顔に当てて…


ラミア「やっほーい、俺くーん!」


……………………

…………


誰のせいでもない。

それが分かっていても、嘔吐を見られて気持ちがいいやつなんて一部の変態を除いて、いないだろう。


コロポックル「ふーん、つまり顔に生気が無いのは精神の方なわけか。」


ラミア「…ごめんね。で、でもゲロ吐く俺くんも可愛かったよ!」


コロポックル「…それフォローになってないよ。」


もういや。

授業受ける前に壊れちゃう。


コロポックル「ところで、妹さん来るんでしょ?」


少し自分を取り戻した。


俺「あ、はい。明日には来てもらうつもりです。」


コロポックル「そっか。じゃ今度挨拶させてもらおうかな?」


ラミア「ま、待ってよ!話聞いてないよ?」


忘れてた。


ラミア「俺くんの妹さんが来るの?もしかしてそのために学園長室に?」


俺「ん、まーそうだ。手出すなよ?」


ラミア「えぇっ!?」


そこで驚くな。


コロポックル「ラミアさんは本当に人間が好きなんだねー。噂になってるよ?」


ラミア「もちろんです!」


コロポックル「わたしはあまり好きじゃないかな…」


ラミア「えっ?」


コロポックル「あ、ごめんごめん!本人もいるのに失礼なこと言っちゃったね。」


俺「いえ、理由は察しがつきますから。」


あの民話だろうな。

コロポックルの私物を盗んだり、タブーとされているのに姿を見たりした話。


コロポックル「はい、あとは薬飲めば治るから。」


俺「はい、ありがとうございます。」


コロポックルはそう言うと小さな手を振ってゆっくりと消えていった。

部屋に戻ったのだろう。


ラミア「…さて!晩ご飯行こっか!」


俺「そうだな。」


とりあえず体は回復したし、足の痛みも何処かに行った。

することも無くなったし、今夜もカップ麺をついばむことになる


俺「じゃ取ってくる。」


ラミア「えっ?」


お?何かおかしいことでも言っただろうか。


ラミア「今夜は新入生パーティだからビュッフェだよ?」


…びゅっふぇ?


つまり、バイキングのことか!?


ラミア「俺くん、腹括って。」


俺の気分はいつもより本気の口調のラミアにさらに萎えるのだった。


………


イベントホール


ラミア「うわあ〜〜!すごいすごい!」


確かに、目をつぶれば食べ物の匂いやゲストの談笑などでパーティの雰囲気を醸し出しているが…


視覚では明らかにゲストや食べ物がおかしい。なんだこのゲル、食べ物なのか?ゲストなのか?


ラミア「それにしても似合うね。そのタキシード。」


俺「あぁ、ありがとう。そちらこそ綺麗なナイトドレスだな。」


これらはパーティ用に各部屋に備え付けてあったものである。

そもそもタキシードとか持ってないし。


ラミア「えっ!…あっその…そ、そうだ!」


ラミアは突然顔赤くして走り去った。

まぁ走り去ったというよりも、ハイスピードで這っていったという形だが。


ヴァンプ「お?お前も来てたのか。」


俺「まあ、半端無理矢理だけど。」


ヴァンプもグラス片手にタキシードか…


俺「様になるな。」


ヴァンプ「そ、そうか?」


俺「俺の中のヴァンパイアのイメージのまんまだ。」


ヴァンプ「なるほど、そうかもな」


照れて頭を掻くヴァンプ。

俺も紋付袴でも持ってくるか…。


ラミア「俺くん!これ食べよ!」


俺「うわっ!な、なんだ戻ってたんだ。」


持ってきた皿の中にはゲルのかかったパスタ。

ゲルの色が緑なので、あるクラスメイトを思い浮かべた。


俺「これ…なに?」


ラミア「パスタのテヌート!」


…テヌートでは…ないと思う。


ヴァンプ「…なぁ…代わりに食おうか?」


俺「…悪いな。」


タウロ「なんだここに集まっていたのか。」


顔を上げると、やはり皿に大量のサラダを盛ったタウロさんがいた。

それよりも目を引くのはその格好なわけで…


ラミア「…エロい。」


タウロ「え?」


ラミア「…デカい。」


代わりにラミアが伝えてくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ