9話「友情は複雑です」
門星学園 俺の部屋
ラミア「やほー!こんな鍵簡単に開いちゃうよー!…ってあれ?」
ヴァンプ「…よっ。」
ラミアこと私の目に入ってきたのは、確かテレビって言われる箱から伸びた紐をさらに繋いで…あーもういいや。
確かテレビゲームって言うんだっけ。
それをなぜかヴァンプがしてた。
ラミア「な、か、勝手に人の部屋入って遊ぶなんて最低!」
ヴァンプ「お前には言われたくねーよ。」
文句をいいながらもテレビから目を逸らさないところ夢中になっているらしい。
えっと確か、人間界の家具はここを抜けば…
ブチッ
ヴァンプ「ぬあああ!?何しやがった!」
ラミア「こんせんと。そもそも俺くんの世界の文字わからないでしょ」
ヴァンプ「電源を切ったのか…」
切ったというより、抜いたんだけど。
ラミア「で、俺くんは?」
ヴァンプ「ああ、妹呼びに行ったぞ。」
ラミア「あ、そっか。」
落ち着いて紅茶を沸かすヴァンプ。
悔しいけど結構絵になる。
ラミア「でも、なんでヴァンプがいるの?」
ヴァンプ「何処かの誰かさんが鍵開けて入ってコソコソなにかされないように見ててくれとのことだ。ちなみに、部屋のものは自由にしてくれていいって言われた。」
うっ…それって完全に私じゃん。
っていうより、自由…?
ラミア「なにそれ!俺くんの私物を私物化するの!?ずるい!人間界に似たような漫画のキャラがいたよ!」
確かブタゴリラだっけ?
ヴァンプ「お前…発言と行動が伴ってないぞ。」
ラミア「なに!?枕匂いでるだけじゃん!」
ヴァンプ「…引くわ、流石に。」
ラミア「な…ふーん、じゃあ勝負する?」
ヴァンプ「…いいだろう。」
結局、二人でゲームすることになった。
内容は乗り物で競争をするゲームだった。
ラミア「これ、アイテム使うのってどうするの?」
ヴァンプ「バツのボタンだ、押したら投げられるぞ。ちなみに、ブレーキは赤のボタンだ。」
ラミア「そんなの、使わないよ!…あ、落ちた。」
ヴァンプ「ざまみろ。聞かないからだ」
なんだかんだで楽しかった。
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日本 ミスタドナッツ
俺「よぅヤマ、フカザワ悪いな朝から呼び出して。」
ヤマ「いいって、俺も久々で楽しみだったし。」
フカザワ「で、どうしたの?」
二人は小学校からの友人で、かなり俺のことを理解してくれている。
眼鏡を掛けている男子はヤマと呼ばれており、ファンタジー小説をこよなく愛する…変態だ。
一方ラテン系の少女であるフカザワはエクソシストを父に持つくせに、ホラーが苦手だという。
ちなみに妹は妹で友達に話をしに行った。
俺は早速本題を出してみた。
俺「…俺さ、高校寮生活になるんだ。」
フカザワ「え?…ふーん、そっか。」
ヤマ「…それだけじゃないんだろ?」
そりゃそうだ、高校で別々になった友人に寮生活の話をしても意味はない。
俺「…えっとさ、その学校ってのがかなり遠いところでさ…門星学園ってところなんだけど…」
ヤマ「…待って、も、門星学園?」
フカザワ「え?なに?知ってるの?」
ヤマ「知ってるも何も…人間以外の種族が通う学園だよ。ネット掲示板で噂があったけど…あんなの、都市伝説とか物語じゃないのか?」
なんだ知ってる人は知ってるのか。
俺「残念ながら真実だ。今年から人間の生徒も募集することにしたらしい…つっても信じないよな」
フカザワ「…に、人間以外ってどんなの?」
俺は生徒手帳から、クラス名簿を出し二人に見せた。
ヤマ「おお!知らない字なのに読める!人外ばっかだ!すごい!CGか!?」
俺「…本物だよ。」
フカザワ「…駄目。」
気がつくと、フカザワが顔を真っ青にしていて画面を食い入るように見ていた。
俺「え?」
フカザワ「だ、ダメだよ!!こんなの危ないよ!悪魔とかに取り憑かれたらどうするの!?死んじゃうかもしれないじゃん!」
ヤマ「まあまあ落ち着きなよ。」
正直フカザワの迫力に押されて後ろに倒れかけた。
俺「だ、大丈夫だって!ほらここ!学内では殺戮行為は禁止だって書いてあるし、もし死んでも蘇生させてもらえるし…」
フカザワ「そんなの書いてあるってことは過去に例があるってことでしょ!!余計ダメ!!ね!?」
ヤマ「…俺はいいと思うよ?ってか是非とも俺が通いたいね。」
俺「…そうか。」
フカザワ「…アンタに聞いた私がバカだった。」
ヤマ「じゃあさ、お前、どんなやつと仲良くなったんだ?」
俺「…まあ色々かな?とりあえず普段一緒に行動してるのは、ラミアとヴァンパイアとケンタウロスと…あとまだあまり会えてないけど狼男。」
ヤマ「おお!RPGでは王道だな。」
俺「でもさ。みんな、良い奴らなんだよ。俺も、最初すごい不安で初めてラミアにあった時とか伝説通り精食われて死ぬかと思ったし。でも結局、そのラミアはフレンドリーで人間味を人間よりも感じたんだ。」
気がつくと、二人とも目を丸くして聞いていた。
俺「え…あ!ごめん話しすぎた!」
ヤマ「ううん、続けてよ。」
続きを促されたので話すことにする。
俺「ヴァンプはヴァンパイアのイメージとはかなり掛け離れたようなチャラチャラした性格だし、逆に、ケンタウロスさんは照れ屋だけどイメージ通り厳格な性格で…。それに、他の人たちもすごく優しい。命を取るどころか守ってくれると言ってくれたし…」
ヤマ「…うん、もういいよ。」
うん、止められてしまった。
ヤマ「ただ、悪い人は居ないみたいだよ。フカザワ?」
フカザワ「ぬぐぐ…」
ヤマ「じゃあこうしよう!最低月1で日本に帰る。どう?」
フカザワ「…わかったよ。そもそも私には権限なんてないんだから。」
俺「…ありがとう。ハハ…」
許可もらえたのが今更すぎて、少し笑えてきた。
……………………
日本 マクナドルド
妹「えっと…とりあえず、昨日ありがとう。」
エリ「ううん、また来てね。」
とりあえず、特に仲の良いエリちゃんを呼んだんだけど
逆に言いにくいなぁ…
エリ「…お兄さんのこと?」
妹「えっ!?な、なんで!」
エリ「見え見えだよー。…引っ越すんでしょ?」
そこまで読まれちゃったか…
妹「…もうエリちゃんには敵わないよ。」
反省を通り越して、思わず苦笑が漏れてしまう。
エリ「行っておいでよ。」
妹「…え?」
エリ「もちろん、突き放すとかそういう意味じゃないけど…。でも、戻ってこられるでしょ?」
妹「う、うん。寮暮らしになるけど、休日なら帰れるよ。」
エリ「戻って来られるんだ!なら全然いいよ!行っておいで!」
妹「え、えっ!?で、でも。」
エリ「でもじゃないよ!お兄さん好きなんでしょ?好きな人と別々で暮らすのと友だちに会える回数が減るのだったら、暮らす方を選ぶべきだよ!」
そっか…エリにはバレてたのか…
妹「…うん、ありがとう。他の友だちにも伝えてくれる?」
エリ「うん、わかった!」
エリは私に満面の笑みを見せてくれた。私もその気持ちに応えないと!
…………………
日本 自宅
俺「どうだった?」
妹「応援してくれるって。」
俺「良い友だちだな。」
妹「お兄ちゃんは?」
俺「心配されちゃったよ。」
妹「良い友だちじゃん。」
向き合って笑ったあと、最後に伝えるべき人物のところにきた。
他の部屋と大差ないボロボロのトイレの様な扉。
偉い人が入っているようには到底思えない。
俺「…すいません、大家さん。」
中から出てきたのは、中性的に見える女性。それでも、髪や肌はかなり綺麗に整えられている。
大家「ん?ミズキさんところの…どうしたの?」
俺「お願いがあるのですが、実は俺、今年から妹と寮暮らしになるんです。」
大家「…なるほど、理解しちゃった。部屋、みてて欲しいの?」
俺「なっ…はい、当たりです…」
すごい洞察力だ…
妹「あ、あの!いいですか?」
大家「もちろん!美代子にも二人のこと見るように頼まれてるからね!」
無駄に緊張していたが、即答してくれたおかげで、肩の荷が下りた。
ちなみに、美代子というのは俺の母のことだ。
大家「いつまでぐらいかな?」
俺「…えっと、よくわかってないです。でも、たまの休日には戻ってきます。」
大家「うん、わかった。じゃあ荷物運べるように段ボール用意してあげるね。」
俺「ええっ!そんなことまで結構ですよ!」
大家「えー、でももう暫く面倒みれないし。」
つまりは大家さんのワガママということだ。
俺「…はい、ありがたくお願いさせていただきます。」
大家「宜しい!」
こうして、準備は整った。
あとは、荷物まとめて飛ぶだけだ。




