氷力クーラー!?
後期作品になります。
夏が来ていた。この夏はとても暑かった。で、あるからして。当然氷精たるチルノはだらけきっていた。
「あぢー」
「だよねー」
「ホント、溶けそう」
「チルノちゃんなんかは特にね」
「あはは、確かに」
「あによぅ、笑いごとじゃないんだから」
大妖精が答え、リグルが続けた。三人はいま湖の木陰にいた。
「でも、チルノちゃんの周りは涼しいよ?」
「あたいはあついのよ!」
大ちゃん(´・ω・`)ショボーン
折角褒めてあげようと思ったんだけど。と大妖精は思った。それと同時に嫌な予感がした。そしてこういった予感はたいていあたるものである
「こうなったら幻想郷ごと氷漬けにしてやるんだから!」
かくしてチルノの無謀な挑戦は始まったのである。
ど、どうしよう。またチルノちゃんが無謀なことを…。止めた方がいいのかな…。でも暑いし、多分涼しくなるよね?
正常な思考が熱でやられている大妖精だった。
「で、どうやるつもりなんだ?」
「あたいのパワーをなめるんじゃないよ!」
「チルノちゃん、具体的には?」
「ぶちまける!」
言うが早いかチルノは周囲に冷気を放ち始めた。もちろん隣にいた大妖精やリグルは大慌てで離脱した。
寒い!冷たい!凍えそうだよぅ!
なんとか冷気がぎりぎり届くところを見つけリグルと涼んでいると、だんだん寒くなってきた。
あれ?冷気がさらに拡がってる?え?
涼んだことで正常な思考が戻ってきた大妖精は正直焦っていた。
あわわわわ…。どうしよう。このままじゃあ大変なことに。
「リグル君!なんとかしたほうがよくない!?」
「ん?まぁ、結構大変だけどあんまり長続きしないんじゃない?結構全力みたいだし」
確かに少し暖かくなってきた気がする。大妖精が安心すると自分がリグルに抱きついていることに気がついた。
そして、さっきの冷気で雪やダイヤモンドダストが積もった木陰でこっちをみるチルノと目が合って。
あぁ、どうしてこんなことになったの…?
「あんたら離れなさいよー!さもないと氷漬けよ!」
「そんな余力なさそうだけどなぁ」
怒るチルノとそれを笑うリグルにあわてる大妖精。そんないつのも光景が、銀色の真夏の湖で繰り広げられていた。
Fin
実はこれが最後のストックだったりする。