ずるいずるいと言う義妹にみんなが同調してきます
「ずるいずるいと言う義妹が婚約者を譲れと言ってきました」
https://ncode.syosetu.com/n5934mi/
の平和バージョンです。
↑を先に読んでいただいたほうが、平和感アップすると思います。
「ずるいずるい! お義姉さま、ずるいですわ!」
またマチルダの『ずるいずるい』が始まった。
マチルダは、父の後妻の連れ子である。
新しく義妹となった彼女は、小動物のように愛らしいが、何かあるたびに私に『ずるいずるい』と言ってくる。
「何がずるいの?」
「そんな素敵なドレスを、婚約者のアラン様に贈ってもらえるなんて! ずるいですわ!」
今日は、アラン様から夜会のためのドレスが送られてきたので着てみたのだ。
とても上等な生地、最新のデザインで、たしかに素敵なので、こんなドレスを婚約者に贈ってもらえる私は、恵まれていると思う。
「そうね、ありがたいことだわ」
私がそう言うと、
「そう思うなら、私にそのドレス…
「本当にずるいですわ!」
マチルダの言葉をさえぎって侍女が言う。
「アラン様の瞳の色のドレス! こんなに似合うかたを私はお嬢様以外に知りません! こんな素敵なドレスを着こなせるなんて、ずるいですわー!」
「ほんとですわ! こんな美しいお嬢様にお仕えできるのが、誇らしくて、私はもうこの職場を離れられませんわ! 私が嫁にいき遅れるとしたら、お嬢様が美しすぎるせいですわー! ひどいですー!」
「スタイルも! ほら見て! どこをどう生きていたらこんな完璧なボディになれるのか! ずるいですわー!」
「いやちょっと…お義父さま! お母さま!」
侍女の盛り上がりのせいで、言いたいことが言えないマチルダが援軍を呼ぶ。
「どうしたんだ…おお、よく似合っているなクラウディア」
「本当に、とても素敵ですわクラウディア様」
父と義母が現れて褒めてくれた。
「ずるい! ずるいですわよ! お義父さま、お母さま、お義姉さまだけが、こんな素敵なドレスを着ているんですよ!?」
マチルダが訴えると、
「たしかにずるいな。こんなに美しく着飾ったら、アラン君をメロメロにしてしまうに違いない。ドレス一着でこんなに魅力アップだなんて、神にひいきされてるとしか思えない。ずるすぎるぞ」
とお父様。
「本当にずるいですわ。若さだけでも魅力的なのに、それ以上の魅力があり余るほどあるなんて、これはもう、罪ですわね。存在じたいが大罪ですわ」
とお義母様。
「そうなんです! だから私たちも、ずるいと言ってたんです!」
「クラウディア様は本当にずるいから!」
「ずるいと言わずにいられないんですよ!」
侍女も賛同する。
「そ、そうでしょ? だから私に…
「しかしクラウディアは気の毒だな、ドレスを着ただけでこんなにみんなに非難されて」
マチルダの言葉にかぶせるように、お父様が言った。
「いくらクラウディアが美しいせいとはいえ、ドレスを着ただけでこんなにずるいずるいと言われるなんて理不尽だ」
「え…」
「それに比べてマチルダはいいなあ。新しいドレスをあつらえても、みんなに『かわいいかわいい』と褒められるだけだ。マチルダはかわいく生まれてよかったなあ」
「え…?」
「本当よ。あなたが新しいドレスを着ても、誰も妬んだりしないわ。これも人徳よ。よかったわねえ、マチルダ」
お義母様も続いた。
「本当に、マチルダ様はかわいらしいから得してますね」
「かわいらしいドレスが誰よりもお似合いになりますものね」
「和みのマチルダ様として有名なんですよ」
侍女も続いた。
「え、そ、そうかな? えへ?」
「そうだとも、新しいドレスがほしいなら作らせよう。かわいいマチルダのためだからな」
お父様がそう言うと、
「ありがとうお義父さま! うふふー! どんなドレスにしようかな!」
と上機嫌で自分の部屋に行った。
こうして、今日もみんなのおかげで、「ずるいずるい攻撃からの強奪」は防げた。
(頭の弱い子でよかった)と誰もが思ったのはいうまでもない。
優しい世界を書いたつもりなのに、ものすごく非道なように思える不思議。
[日間]コメディー〔文芸〕で1位になってました。嬉しくて嬉しくてスクショ撮って保存しました!
めっぽうありがとうございます!




