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王子に愛されし隣国姫  作者: 淡希蘭央
華の宴 編
1/5

#01

 始めまして、淡希蘭央です。

 元々アルファポリス様で降ろさせていただいていた小説ですが、この度新たに小説家になろう様にも降ろすことになりました。

 よろしくお願いします。


 第1章「華の宴 編」の第1話です。

 セルテ帝国が朝を迎えた。

 太陽の暖かい光は、セルテ帝国中心部にある宮殿にも入る。

 宮殿のとある部屋。

 その部屋にも暖かい光が差し込む。

 光が差し込んでいるものの、部屋の(あるじ)は起きた様子はない。

 その時、扉が静かに開いた。

 音を立てず静かに入ってくるのは一人の少女。

「まだ朝早いし、やっぱカルノ寝てた……」

 カルノ。

 その名前に当てはまる人は、宮殿には一人しかいない。

 ──カルノ・ヴァロン・セルテ。

 セルテ帝国の第1王子で、次の皇帝である。

 そしてセルテの部屋に入れるものとなると、極限られたものだけになる。

 その少女は「極限られた」という分類に入るということ。

 それだけ地位が高い少女なのである。

 黒髪に、内側は紫色の髪。

 その蒼色の瞳はとても丸い。

 いわゆる、美少女である。

 少女は、フェルア・ノエスト・スラミント。

 セルテ帝国の隣国、スラミント王国の第1王女である。

 そしてカルノとフェルアは婚約者同士であった。

 二人は(よわい)8歳という幼い少年少女であった。

「カルノ~、そろそろ起きなよ~」

 カルノの意識はすっかりあちらへ行ってしまっているようだ。

 仕方ないので、フェルアはカルノを叩き起こすことにした。

 バシッ、バシッ、バシッ。

 ようやく目を覚ましたカルノ。

「いったぁ……」

「やっと起きた。遅いよ」

「……あ、おはよ、フェルア。うーん、寒いねぇ~」

「寒いけど、早く起きなよ。じゃないとまた私が起こすよ」

「ええ~、やだぁ。もう痛いのやだ」

「じゃあ起きなよ……」

 フェルアが声を掛けるも、カルノはベットから出ようとしない。

 フェルアは仕方ないなぁと思い、カルノを引っ張る。

「ん~……」

 カルノはまだ眠いのか、目を擦っている。

 そんなカルノをフェルアがムッと睨むと、シャッキっと背筋を伸ばした。

「そんな部屋着じゃなくて、さっさと着替えな。もうそろそろ朝ご飯の時間だし」

「わかった。フェルアは部屋の外で待っててね」

「言われなくても!」

 

 数十分後。

 着替えを終えたカルノが部屋から出てきた。

 カルノは顔が整っているので、だいたい何を着ても似合うのである。

「ほら、早く行こ。私お腹すいた~」

「慌てんなって。俺もお腹すいてるし」

 そして二人で、朝ご飯が食べられる部屋、大広間へ向かった。


 ☆ ☆ ☆

 

 大広間に着いたカルノとフェルア。

 そこには、数名が集まっていた。

 その数名とは、ほぼカルノの家族である。

 入口から見て右側にセルテ帝国の王族セルテ家。

 ガーバン皇帝とヒメリ王妃とラノア王女がいた。

 ガーバン皇帝ことガーバン・デイ・セルテはセルテ帝国第三十二代皇帝である。

 見た目はほんわかしており、本当にカルノの父親なのか怪しいところだ。

 ヒメリ王妃ことヒメリ・コルミラ・セルテはガーバン皇帝の妻である。

 美貌と才能、どちらも兼ね揃える、素敵な女性である。

 ラノア王女ことラノア・スノウ・セルテはカルノの妹。

 クリクリの緑色の瞳に深海の底のような紺色の髪を持つ齢5歳の少女。

 ガーバン皇帝と対になる方にいるのは、フェルアの兄、アクロ・ユーン・スラミント。

 アクロは自分の兄と妹──フェルア以外に心を許す人はいない。超冷徹である。

 アクロの隣、ヒメリの対の席にフェルアが、フェルアの隣にカルノが座る。

「では、いただきましょう」

 ヒメリがカルノとフェルアが席に座ったのを見て、声をかけた。

「「「「「いただきます」」」」」

 五人の声が重なる。

 この場に六人いるのに五人の声しか聞こえないのはなぜか。

 それは、六人目、ラノアが声を出していないからである。

 ラノアの過去に何があったか、フェルアは詳しくは知らないが、声が出せないらしい。

 しばらく経ってから、不意にガーバン皇帝が告げた。

「来月、『(はな)(うたげ)』がある。アクロ王子、フェルア王女たちスラミント王家にも参加してもらおうと思っている。オルレリダ国王には私から交渉しておく」

 と。

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