第十八話 たかが二つ名、されど二つ名(メリーナ視点)
治癒魔法の使い手で公爵家のご令嬢、見た目おっとりしてるように見えるからか一部の男子が私のことを慈愛の女神だの、慈しみの公爵令嬢だの勝手な二つ名を作ってると耳聡いセレーナが教えてくれた。どうでもいい情報をありがとう
放課後、魔法科の授業、魔法科のお勉強は通常の授業と違いA~E全クラスの男女合同で行う、騎士科などもそう、私は治癒と支援魔法に特化していて、攻撃魔法は全く使えないけど仕組みは覚えておいて損はない。前世でもそうだった物事いつ何が役立つかなんてわからない、現に実社会では何の役にも立たないと思っていたゲーム、アニメ、小説の知識がここではかなり役に立っている。
『他人の知識を使っているだけで自分が生み出したわけじゃない』ってよく異世界転生ものの主人公が言うけど私はそうは思わない。ただの意見の相違だから別にそう考えるのも間違ってないけど、誰の手も借りずに一から何かを創造するなんて私に出来るなんて思ってないもの。
みんな誰かしら先人の知恵や知識の恩恵を受けてそれを利用して生きている
私はこの世界に選ばれたのもなにかの因果を感じている。最初は乙女ゲーやってたからと言う理由だけかと思ったけど違う気がする。多分私はみんなほど詳しくないたまに息抜きでやっていた程度、でもスザンナを見てもしかしてと思うことが有るの。
スザンナは高専の二年生でお父さんは博士、お兄さん達も修士持ち学士持ちで下地が有る。私の家系は代々医療の道を進むし父さんもお爺ちゃんも医者で病院の経営者、私も医大を目指して居る最中だった
フェリシアは代々アスリートの家系、ジュリアは元々良いとこのお嬢様、でもここからがわからないティナレは代々何かの優れた家系ということもないと言ってたし、ヘレネは父親が旅客機のパイロットでも自身は別の道に進むつもりだったと言っている。セレーナは小説家になりたかったと言っていた、家族に小説家が居るわけでもなかった
今の女神様にも聞いてみたけど前の女神のやらかしで選ばれた理由は解らなかった
わかったところで何の意味もない可能性もあるけどこのゲーム?作品の目的が何なのか解れば進め方も変わってくると思うのよ
大前提は前任女神の言うジルベリオ殿下と結ばれること
でも結ばれるために避けて通れないフラグ例えば
魔王が出て来るので倒して世界の破滅を防ぐとか、他国との戦争回避・勝利・講和をする、誰かを断罪する、ヒロインが脱落しないようにする、ジルベリオ殿下が王位継承権を剥奪されないようにする
みたいなこと今のところの情勢で言えば二番目の、他国との戦争に関するフラグはあるわね、あと誰かを断罪するは直接私達に関わってくる可能性が高いから要注意
ふぅ、その辺りあとでみんなとディスカッションするとして鍛錬…今日は座学だから追加の授業みたいなものだけどに集中しますか
「~というわけで、私達はこの世界を作られた女神エードゥアルト様のご加護によって魔法が使えています」
この女神の名前『エードゥアルト』って前世の世界だとドイツ人の男性の名前で聞いた事が有るから女神なのに男の名前なの?って女神様に聞いたらこの世界の最初の担当者が男神だったからと身も蓋もない事を聞かされた女神になってからは世界自体が改ざんされて元々女神だったことになってると聞いて怖かったわ、女神様曰く
「担当が変わっただけでこういう事になるから私自身が直接介入はしないの基本的に見守るのが役目」
なのだそう
確かに介入されちゃうとルールもへったくれもない、でもあの言い方だとやろうと思えば出来るってことよね
「また今から五百年ほど前、私達の暮らすヘルベルト大陸歴256年、突如として現れた魔王ガルドベンネにより魔物が生まれたと伝えられています。ガルドベンネとの戦いはおおよそ100年続き大陸歴353年我々人類側、正確には人族、エルフ族、獣人族、ドワーフ属より選ばれた勇者たちがガルベルドを倒し平和が訪れました。しかし魔王亡き今でも魔族は存在し、魔物も発生し続けており~」
エルフ・獣人・ドワーフもそれぞれ国が在って獣人とドワーフとはそれなりに交流がある、エルフだけは北の山脈の向こう、大森林に居てほとんど交流も無くどんな生活をしているのか解らない、なんとなく想像はつくけどね
学園に入る前に家庭教師から散々聞かされた話、人類の勇者の末裔の一人がシェフィーリア王国の初代国王で、今ある人族の国は大体元を辿れば勇者の末裔という話
「はい、先生」
「はい、カタリーナさん何でしょう」
「魔族と魔物はどう違うのでしょうか?」
あの子は確かCクラスの新興男爵家のご令嬢だったかしら?
ヒソヒソと何処かから聞こえるか聞こえないかの小声がする
それなりに歴史が有ったり位の高い貴族なら入学前に家庭教師から習っている話を聞いたからだでも先生は
「良い質問です。魔物とは魔族によって使役されていた魔力を帯びた動物です。ですが魔王が討伐され魔族も散り散りになり魔物は野生化し、今では魔族にもコントロールできない存在となっています。中には家畜化されデーモンピッグの様に私達の食卓に並ぶ魔物も居ますし、病気の治療薬になる魔物も居ます。この様に今では人間とは切っても切れない存在ですのでしっかり学んでくださいね。『特に』ヒソヒソと会話に夢中になっている人は真面目に勉強してくださいね!」
知っているかどうかよりも取り組む姿勢を評価してくれる先生の様で質問したカタリーナ嬢も嬉しそう
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
陰口を叩いていたグループはバツが悪そうでむっとしているけど先生は気にないで授業を進める
「獣人族は多種多様で色んな種族が居ますが基本、身体的に人族より優れ身体強化の魔法を使用前の時点でも平均的人族の数倍の力を発揮することが出来ます。その上で身体強化の魔法を得意としており人族が身体能力で上回ることは不可能と言っても過言ではありません。またドワーフ族は繊細な道具を作れることで有名ですが、その上で道具に対しての永続的な付与魔、これは武器や防具などに限らず日用的な道具も当てはまります。そういった物を輸出することで経済的に繁栄しています。彼らの作る製品が高価なのはそういった理由が有ることを覚えていてください。エルフ族に関しては交流、国交が存在しないため現在の状況は解りませんが~」
シェフィーリア王国において他種族との関わりは経済的なものが多い別に差別したりしているという訳ではない単に同じ種族同士の方が楽だから何だと思う。むしろ人族同士の国の方が険悪だったりする
「我が国の人口比率では獣人属、ドワーフ属共に一割未満、エルフに限っては居ないと言ってもいいでしょう」
時計を確認した先生が
「はい、では課題の用紙を配ります、先頭の子に渡しますから前の人から受け取ってください、課題に出ている術式は次回の授業で確認しますから課題だけでなくしっかり予習しておいてくださいね」
課題用紙が配り終えると同時にチャイムが鳴り今日の魔法科の授業が終わった
やることもないので教室を後に…絡まれてる、カタリーナ嬢が
「あんな問題事前に予習しておくもの授業の妨げは止めていただけないかしら?」
「でも解らない事は質問して」
「ですから、家でやって…あぁ、家庭教師も居ないんでしたわね、ごめんなさい」
白々しい、先生に注意された腹いせにマウントを取っているだけじゃない、絡んできている令嬢グループの子はEクラスの子爵、男爵のご令嬢、さしずめ男爵令嬢は子爵令嬢の取り巻きか男爵家でも歴史が有るお家か
Cクラスと言ってもBクラスより学力が格段に落ちるわけでもないどちらかと言えば優秀なクラス、それに家庭教師無しでCクラスの彼女と家庭教師も居てEクラスの彼女達とではレベルが違う、もし彼女に家庭教師が付いていたのならBクラスだったかもしれない
彼女からしたら迷惑かもしれないけど、ちょっとお灸をすえましょうか
回れ右して彼女達の方へ
「ちょっといいかしら?」
なにかとお騒がせしてきたからかしら?私の顔はしっかりと把握しているみたい
「な、何かしら?」
「いえ、ちょっと楽しそうに見えたから私も参加させていただきたいと思ったの」
注意されると思ったのでしょう、目に見えて安堵してるのが判る
「そ、そうでしょう!この子新興の男爵家のくせにちょっと真面目だからって贔屓されてこちらは迷惑しているから注意して差し上げていたところでしてよ」
「わたしは勉強がしたいだけで迷惑をかけるつもりは」
「予習してくれば理解るレベルの低い質問でいちいち手を上げて止められる私達の身にもなって頂戴、これだから商人からの成り上がり貴族なんて教養もなくて同じ貴族を名乗って欲しくないのよ」
「あら?ティナレのご実家メルダルス公爵家の成り立ちは商人上がりですけれど…私も注意した方が良いかしら?」
公爵家の名前が出てきてぎょっとする彼女達
「い、いえメルダルス家には歴史も有って教養も有る由緒正しいお家ですわ、こんな金で爵位を買った様なまがい物貴族とは比べられませんわ…オホホホ」
「ふふふ…貴方なにか勘違いしていらせられてないかしら?金で爵位を買える?確かに平民から貴族になるにはお金を払う必要がありますわ、けれど公爵家の審査の後に国王陛下が確認しますのよ、そして認められて初めて貴族になるの、まがい物貴族と貴方が仰るのなら公爵家と王家の判断に不服だと言うことになるのだけれど…」
「私は…そんなつもりじゃ」
「つもりじゃなかったかどうかは関係ないの、まがい物貴族と言った時点であなたは王家と公爵家に不服だと言っているの」
口にした事の重大さにやっと気づいたのだろう青くなって
「すみま」
でもまだ謝らせてあげない
「それとこれ、解いてくださる?今日の座学を真面目に受けていれば理解るわ」
私は今日の座学で出た術式を所々を空白にしてノートに書いたあと、彼女達に見せた
一分経ったが彼女達は誰も答えられない
「貴方も解いてみて」
カタリーナ嬢にも参加させる、特に難しい問題でもない言った通り授業を真面目に聞いていれば理解るものだ
令嬢たちと私の顔を交互に見て、覚悟を決めたみたい彼女は全部の空欄を埋める
「正解よ」
「そ、そんなの適当に書いてメリーナ様がこの子の為に嘘をついて居るかも知れないじゃないですか」
往生際が悪い、そんな事して私に何の得があるのかしら?それと公爵令嬢の私に対して嘘つきだと言っている事に気づいてないのかしら?
「ページを捲ってみて」
「?何を?」
カタリーナ嬢が捲る、次のページには答えも書いておいてある
「どうかしら何か不満がありまして?」
今度は顔を真赤にして
「こんなの酷いです!公爵令嬢の貴方に私達が逆らえない事を解っててこんな事をするなんて!学園は位も階級も無いはずです、それを」
どの口が言ってんだか
「あら?貴方達が歴史も浅く逆らえない新興の男爵家に嫌味を言うのは良くて、歴史が長くて公爵家の私が子爵家や男爵家に嫌味を言うのはいけないのかしら?理由を教えてくださらない?」
「、、、、」
もはや泣き出しそう勢いなのでここら辺で止めておこう
「今日の事はほんのちょっとした『注意』です。あなた方の家に公爵家から何か言ってくることはありません。それと確かに学園内では身分に差はありません、ですがあくまで学園内という箱庭の中の話です。学園内では軽口で許される事も一歩でも外へ出れば家と家の問題です。学びと人脈を作るために入った学園で、学ばず恨みを買ってどうするのですか!貴族に成れるほどの財が有るのなら勢いのある商人です。貴方達が卒業する頃には立場が逆転していたら恨みを買った貴方方の家に力を貸してくれると思いますか?もっと想像力を働かせなさい」
「「「すみませんでした」」」
彼女達は半泣きで教室を出ていった
「あの、ありがとうございました!」
「ちょっとした憂さ晴らしだから気にしないで、それより勉強頑張ってねカタリーナさん」
実際ちょっとスッキリしたので笑顔で私も教室を後にした
その後、『公爵家の怒らせると一番ヤバい人』という嬉しくない二つ名が追加されたとセレーナから教えてもらった。解せぬ!
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