星の海を眺めながら 12
コノミちゃんとスズちゃんと合流、ナオコさんたちを探すことにしました。
「ものごっつ人おるなあ」
「お祭りだもの、仕方ないよ」
「人混みは苦手だ!」
にぎやかな中央広場に来ましたよ。やはりここにいました。なぜかカズコさんとステージわきのテントにいます。サヨリさんがゲストみたいな扱いをされてるみたいです。
カラオケ大会ですか? 楽しそうですね。
私たちはリンゴ飴を買ってナオコさんたちと合流しました。
「ナオコさーん」
「お、アカネ、楽しんでるか?」
「サヨリさん審査員してるの?」
「この祭りに光里家も協賛してるからな」
さすが県内一の大企業ですね。あちこちにパイプがあるようです。カズコさんも実は大企業の会長らしいですね。ただの登山好きなおばあさんではありません。
「ずっとここにいるのも退屈だし遊びにいこうぜ」
「いいんですか?」
「サヨリもすぐ抜けてくるさ。そろそろ終わりだからな」
いちおうサヨリさんに断ってからふたたび祭りを見てまわります。屋台めぐりをしながら歩いているとおばけ屋敷がありました。入ってみましょう!
アイちゃんはあんがいこういうのが苦手なようです。ごはんが食べられなくなる呪いがあると信じているそうです。ひどく怖い思いをした人が食欲をなくすからだと思います。それただの体調不良。
仕方ないのでお姉ちゃんが守ってあげましょう。二人一組で入れるようで、ちょうど三組に分かれました。ケンシくんはリョウヘイさんたちに拉致されてました。
男の子どうし話があるんでしょう。それでは、入ります。
「うぎゃー!」
なにかすごい悲鳴がひびいてますね。アイちゃんはすでに私にだっこ状態です。可愛いですね。
いきなり天井際から人が飛び出してきました。
「ぎゃー!」
アイちゃんの悲鳴にビックリしました。サッカーだとあんなに勇敢なのに。次に怪しげな井戸にさしかかります。下から強い風が!
「いやあーっ!」
「痛い痛い痛い」
アイちゃんの力はとても強いです。さすがはエースストライカー。ディフェンダーを背中で支えてきた突破力を感じさせます。痛いです!
暗い道に入ったところでうしろの井戸から白いなにかが叫びながら飛びだします。赤い血が白い着物にべっとりついてて見た目が恐ろしいです。
「うわあーん!」
アイちゃんが泣いてしまいました。私がいますから大丈夫ですよ。
私はこういうのわりと平気なのです。自分が死にかけましたからね。ニセモノにはなにも感じませんよ。
そのあとも鎧武者とか定番のネタが出てきてアイちゃんはじゃっかん恐慌状態でしたが私にぴったりくっついていたのではぐれずにすみました。
あとの二組、ナオコさんとアンナさんはナオコさんのほうがグロッキーでした。血を見るのがダメなんですね。アンナさんはむしろ解体しまくってますからね。
スズちゃんとコノミちゃんもコノミちゃんのほうがフラフラです。スズちゃんが血におびえるはずがありませんね。コノミちゃんはスイーツ女子ですからしかたありません。スズちゃんはセイボリー系ですね。
とにかくみんな出てきましたし、花火が見える港湾部に向かいます。サヨリさんもそこで合流予定。かき氷などを買いながら港湾につくとすでに人でごったがえしています。座るところはなさそうですね。
なんとかサヨリさんと合流、港湾にあるこの市最大のお城、同絡城の入り口でつかまえました。ついでなのでここで花火見物をしましょう。
「そろそろか?」
「もう少しですわね」
「花火が砕けちりまーす!」
「砕け……どうなんですそれ」
なんか残酷ショーみたいですよ?
「あかん、しんどい」
「ちょっとおばけ屋敷がこたえたのかな?」
「大丈夫コノミお姉ちゃん? かき氷食べる?」
「いただきますわ。はあ、しみる」
「酎ハイもありますわ」
「いただきます! リンゴサワーにしよ」
サワーもたまにはいいですね。缶酎ハイが何種類もクーラーに詰めこまれています。一人で飲むつもりでしょうか?
二十本は入ってますね。
「ビールでいいや。冷てー!」
「ブドウもらいまーすです!」
「私はジンライムにします」
「レモンでいいですわ。こちらのクーラーには白ワインが」
もう一個クーラーがでてきたよ? よく見ると大谷さんと星野さんがまだ二つずつクーラーを下げてますね。何本飲む気だ。
「かしゃ、ぷしゅ、ごく、ごく、ごく、ふぅー! よし、ガソリン入った」
「私も飲むぜ! かしゃり、ゴクッ、ゴクッ」
「どんどんいきますわ! かしゃり」
「サヨリ様速いなあ。カシャ、ごく、ごくっ」
「涼しくなりますね。ごく、ごくっ。おつまみほしいかな」
「スルメやサラミならありますわ」
「いただきます!」
「飲めないけど食べまーす!」
「俺も」
「かき氷にレモン酎ハイかけまーすです」
「それ美味しいやつですね!」
「はじまりますわよ!」
「おお……!」
ヒュルルルル、どーん、と、空に大輪の花が咲きました。赤、青、金、と空を彩り、海はその色を反射します。
「きれい……」
初めてできたたくさんの仲間といっしょに、花火祭り。きっとこの日の景色は、一生記憶に残るんでしょうね。
正直、楽しめる人がいてくれたらいいなって。




