星の海を眺めながら 1
みなさんおはようございます。湊アカネです。夏がきましたね。イベントが盛りだくさんですよ。
まずは日傘を差してお散歩と洒落こみましょう。暑いですねー。スポドリを持っていきましょう。
今週から新人さんがくるのでなんとなく初心に帰るために橋の上を目指します。カズコさんがいました。そういえばカズコさん、五年前のこと知ってましたもんね。
私はあの頃無我夢中で、ここがどこかもわかってなかったんですが。コンビニが建ったり景色変わったのもあるでしょう。
「おはようございます」
「ああ、アカネちゃん、おはよう」
「暑いですねー」
「私ゃいつもスポドリ持ってるよ」
このお年で山に挑むだけはあり、その辺りの健康管理は忘れないんですね。本当に元気なおばあちゃんです。中身は二十代かもしれません。若い子より発想が若いです。山があるなら登ればいいじゃない、って感じです。見習わないとだめですね。
「おや、あの子たち、こんな暑いのにやってるよ」
「おはようございます! いらっしゃいませ! 何名様ですか? 空いてるお席へどうぞ!」
いつぞやのアルバイト少女たち四人です。情熱的ですね。……私ちょっと老いてないです? 枯れてるかも知れません。がくぶる。
「おはようございます!」
「きゃあ、アカネさんだあ!」
「おはようございます!」
「お元気ですか?」
「みんなほどじゃないけどね。暑いねー」
「スポドリ用意してます。2リットル二本クーラーに。氷ぎっしりで」
「力入ってるぅ」
「私たち夏休みでして、朝練してました」
「気合いも入ってるぅ」
「どうでしたか、私たちのあいさつ」
「きちんとあいさつになってたよ」
「前はどなってるだけでした。反省しました」
「よくできてます」
くすくすと笑ってしまう。人は成長するのだ。それはきっと、とてもいいこと。
「またお店にきてね。少し高いけど量もあるからね」
「ハンバーグ丼食べにいきたいです」
「仁といえば唐揚げだよー」
「お刺身でしょ?」
「フライとか美味しいよ」
けっこうきてるなあ。いいとこのお嬢様たちなのかも。日焼け止め塗って白い肌もキープしてるし。でもタフだけど。
「じゃあ、またくるね」
「お待ちしてます!」
そして今日は帰ることにしました。
「今日も行くからね」
「お待ちしています」
「ふふふ、やっぱり風格が違うよねえ」
「?」
さて、午後から二時間バイトですが、来週はどうなることでしょう。……あっという間に二時間の仕事を終え、ナオコさんたちと飲みに入ります。
「でもさ、入試に失敗してふてくされてるガキだろ? なじむのか?」
「やってみなければわかりません」
「でもなぜ進学をあきらめて料理人の道に?」
「もともと剣道をやっていて求道精神があるみたいですね」
「その子うちの生徒でしたー。優秀な子でーす」
「それがまたなんで受験失敗してひねくれたんだか」
「受験成功してもひねくれてる子がなにか言ってるわ」
「ひねくれてねえわ」
「まっすぐすくすくのびてまーす」
「あ、特にそんなこともなかったわ」
「みとめた?!」
自分でわかってたんですね。がくぶる。あ、唐揚げきましたよ。
「飲むか。レモン酎ハイ」
「私も」
「ひいぃ」
「いいかげん癒えろトラウマ」
「グレープフルーツ飲みまーす」
「私も。心配ですけど飲んで忘れます」
「のめのめー」
「支払いはまかせてー」
「安心すぎまーす!」
そういえばスズちゃんやコノミちゃんもおごられているらしい。甘やかされておりますね! ありがとうございます!
かわりに撮影を断れませんけどね。仁の収益も支えられてますし。大将はお金持ちです。まあ私と同じで仕事が好きなんでやめませんけどね。
「それで今月の予定だよ。唐揚げうめー。なにする? 海行くか?」
「温泉がいいです」
「それはいーでーす! ジャパニーズ温泉ハラキリ」
「腹切るなエセ」
「お祭りもね」
「ゲームもやりましょう!」
「系列の温泉宿をキープしておきますわ」
「さすがなのでーす! また札束がうなりまーす!」
「ゲームねえ、なにをするかなあ」
「餃子?」
「アカネが危険なんだが?」
「面白そうですね」
「また気絶者が……!」
「……貝柱天うめえな」
現実逃避はよくありませんよ? わくわくしてきました。




