桜だ! 花見だ! ひとパだ! 5
アイちゃんが帰ってきてお風呂に入ってます。鼻唄が聞こえる。よだれをすする音も。そんなに楽しみだったのね。
年の差で言うならナオコさんたちとも仲いいし、年の近いお姉さん的な? 絶対コノミちゃんとも仲良くなる。
そういえば当然のようにナオコさんとコノミちゃんがお好み焼きを焼けるらしい。任せるか。三人で代わりながら焼くか。
カップに生地を入れてキャベツをいれ、卵をのせてざっくりと混ぜる。卵の味が残るくらいにざっくりだ。混ぜすぎると味が平たくなる。ぺとっとなる。熱くなってるホットプレートに生地を落とす。
次のカップも。その間にみんなに好きな具をのせさせる。二つ目。三つ目、ホットプレート四枚もあるから十枚は焼けるな。具をのせたものをひっくり返すのはナオコさんとコノミちゃんの役割だ。二人は急速に仲良くなってきたな。
……ナオコさんハーレム系主人公ではなかろうな? 総ツッコミ担当な気もする……。むしろ正解……?
おお、いい香りがし始めた。私は海鮮お好み焼きを作る。私の分ね。
「はいよお、ブタ玉できたぜ!」
「やったー!」
いちばん活躍してないアンナさんのからできたらしい。テーブルに運んで切っている。ああ、みんなの試食用にカットしてるんだ。活躍してないの気にしてたのね。
「あ、待ってアンナさんの仕事」
「え、まだなにかー?」
「この砕いたアラレかけなきゃ」
「あ!」
花が咲くような笑顔になったよ。よかったですね、活躍しましたね!
「じゃあいただいてみっか」
「お酒を汲んでまいります。今日はビール! 異論はありませんね?」
「いえーい!」
ビールが行き渡りひとりひと切れずつ配られる。食欲モンスターもいつの間にかおひつを抱えてスタンバイだ。
「じゃあ、みんな今日はお疲れさまでした! いただきます! かんぱーい!」
「いただきます!」
「かんぱーい!」
「お、うめ、これアラレ正解」
「ソースも美味しいですわ」
「私がマヨネーズと混ぜた。お好み焼きの上で。ちなみにカラシもほんのり入ってる」
だからなぜお好み焼きとかたこ焼きとか粉ものだけできるんですか。
「干しエビ買わなかったけどアラレでいいですね」
「美味しいよお姉ちゃん」
「アイちゃんのも焼いてますからね」
「お姉ちゃん大好き!」
「うーん、感慨深いなあ。まだお菓子お好み焼きもあるんやで」
「ホントなんでも作れるんだなアカネちゃん」
「なんでもは作れませんよ。そもそも作りたくないですから」
「それな。働き者なのか怠け者なのか」
「怠け者ですね。やりたいことしかしない」
「素敵な怠け者ですこと。ふふふ」
「いやー、ためになりますわ」
「本当だね」
「私はししょーの足元にもおよびませ~ん」
「そうよ、アイのお姉ちゃんはすごいんだから!」
その時全員が私の顔を見た。え、私はアイちゃんの才能のひとつだったりするの? 後ろに立ってゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッゴッ。ぷはあ。とかやるの?
や、焼こう焼こう、飲もう。くぴくぴ。
海鮮玉が焼けた。そうだ。
「どうせなら全員のを食べ比べてみようよ。夜は長いんだしさ」
「いいねえ」
「それ食べてみたかったでーす」
「うち見てたけどイカとか貝とかエビを入れてましたっけ」
「美味しそうですわ。絶対ビールに合いますわね」
「海鮮の新しい形!」
「ごちそう!」
ひっくり返して具をのせた面を上にしたらソースをはけで伸ばし、マヨネーズカラシをのせて渦を巻くように伸ばす。上からアラレ、鰹節、きざみのりを振ってできあがり。七つに切り分ける。難しいので八つに。二つはアイちゃんが食べる。
「ん! やっぱうめえ!」
「はあ、呼吸を忘れる美味しさ」
「こ、これがお菓子になるんか。なんやこの生地。山芋をスイーツに使うんはこのためか」
「お菓子も覚えたいかも」
「お姉ちゃんのお好み焼き!」
「うん、ビール。あとどんどん焼けるからね」
「おっとそうだった。できたら声をかけろよ!」
「はいな! うちも焼きまくるでー!」
「私も焼き方をやりますか」
「しばらくはいいだろ、こんだけの速度で焼いてたら食い倒れちまう」
「そうですね、三人やとちょいペース速すぎですわ」
「じゃあしばらくはとめておくか。お菓子の生地見てきまーす」
「まじめねえ」
「遊ぶことに関しては、ですけどね」
「アイちゃんは知ってるの? アカネちゃんがどうしてああなったか」
「ええ、でも大したことじゃないんで、本人に聞いてあげてください」
「……?」
「どんどん焼けてますよー! アイちゃん来てくださーい」
「あ、はーい! うへへ」
「……くす、なんか姉妹ねえ。うらやましい」
「みんなチーズ使ってる? 教えようか?」
「お好み焼きにチーズて、ピザやん」
みんなにチーズののせ方を教えた。掬い上げてやると意外とこぼれないんだよね。ソースの上にチーズ、その上に鰹節とのり。
「こんなもん絶対美味いやんか」
「うへへ、たまんねえな」
「チーズは大好きですわあ」
「チーズが嫌いなアメリカ人はいませーん」(いるだろ)
「チーズが嫌いなアイもいません!」
「全部食われっぞ、自分のやつ確保!」
「とらないよぉ~」
あとはお総菜を使ったニラレバ玉や唐揚げ玉なんかをみんなで楽しんだ。




