トマトサラダ
二話目です。
ご存じないかとは存じておりますが、実はですね、私はトマトが大好きなんです!
カプレーゼ、トマトスープ、トマトカレー、果てはトマトチャーハンまで……。そのままでもいけますよ私ゃあ。
お弁当に入れられてちょっとしなっとなったトマトも美味しいししゃきしゃきの塩トマトも美味しい!
「アカネちゃん、上がっていいよ~」
「はい、お先に失礼します~」
このごつい感じのオジさん(当社比)がですね、このお店、定食、居酒屋、仁の大将、八尾神ジンさん190センチです。
八尾神ってかっこいいですね、なんで店名にしなかったんですか? って聞いたら、ゴツすぎる……、とゴツい身体を縮めておられました。まあ定食屋・八尾神、とか怖くて入れませんね。正解だと思います。
他のメンバーについてはまたお話ししますね。
今日は帰ってひとパするだけかなー。
「アカネちゃん、こっち座りなよ」
「おごっちゃいますわよ?」
「マジすかあざーっす」
このお二人は常連客、キリッとしてる(小さいけど)黒髪がツンツンしてるお姉さんが多田野ナオコさん。
なぜかゲテモノ料理の考察ばかりしている人です。
「アカネちゃん、アメフラシって食えるらしいぜ。やってみねえ?」
「たぶん店がつぶれますねえ」
食べてる人を非難する意味ではありません。すみません。店では出せません。足が出ちゃう。アメフラシなのに。(つまんねーよ!)
もう一人の常連客様がこちら。(スルーした?!)光里サヨリさん。素敵な名前ですねえ。品の良いツヤツヤな茶髪のロングを流しています。地毛らしいです。お母さんが白人さんですね。ちなみに私は日焼けした茶髪です……。
ああ、煌めく水面ギリギリを駆けるように泳ぐサヨリの群れ……んふふ。一夜漬けかなぁ。
「アカネちゃん、なんか目が怖いわよ?」
「気のせいですよぉ(じゅるり)」
「おいコイツ今ヨダレすすったぞ!」
それは置いといて、(置くな)うるさいナオコさんは置いといて、サヨリさんは名前からは想像できない特技があります。うわばみなのです。そう、あの酒樽をなん樽も飲み尽くすという……。(そこまで飲まないわよ……)
「えっ?×二人」
「えっ?」
こんな楽しいお店です。(主にお客さんが)
「じゃあ今日は上がりますんで、お二人はごゆっくり」
「おいおい飲んでねえじゃん」
「そうよ、駆けつけ三杯って言うでしょ」
「……サヨリさんじゃないので。(ぶるぶる)ごちそうさまでした」
サヨリさんに付き合ったら潰れるまで飲まされるじゃないですか。やだー、なので帰ります。ちなみにうちは一軒家、持ち家であります。職場からも明るい道を歩いて帰れる距離です。お二人も近くに住んでいます。
今日のひとパはご飯の準備がいらなかったのでさらにですね、簡単なものを作ってゆったりひとパしようと思います。スーパーでいくらか仕入れまして……。サヨリさんと話してたら強めのお酒が欲しくなったので、今日は十四度の箱入り白ワインにしました! 思い切った、私!
十四度といえば日本酒と同じくらいですね。日本酒をライスワインと呼ぶのもこのあたりから?
ともあれ、ワインにはやはり……トマトでしょう! 買ってきましたのはトマトと、大好きなこれ、カツオのタタキ!
やすい! うまい! おさかな!
トマトをスライスして塩を振り、タタキのパックに入ってたポン酢をかけておいたカツオのタタキを挟んだらオリーブオイルと胡椒を振ります。塩加減に気をつけて。
皿に広げたちぎりレタスの上に付け合わせのタマネギと盛り付けたら残ったポン酢をかけて、粉チーズ! 簡単でしょ?
手抜きこそ、ひとパ道と見つけたり。
さあ、ひとパ、開幕です!
「たっぷり二人前盛ったタタキとトマトを一切れずつタマネギといっしょにつまみ、一度に口に放り込む……」
ひとパはお上品にやる必要はありません。一口でパクリ。じゅわあっ、と口の中がものすごい水分量です。洪水ですよ。味変でクミンとか使うと美味しいです。口の中がイタリアからインドに旅行しちゃいます。
さて、本命の白ワイン様を……。
「ちゅっ、きゅうっ……!」
こ、これアカンやつや。
度数強いのにうまい! グビグビ飲んでしまいそうだけど飲んだら絶対潰れる!!
ゆっくり楽しみましょ~。
「……お姉ちゃん、また一人で美味しそうなの食べてる……」
(オーダーの繰り返しなど一部接客対応を省いていますがアカネちゃんは実行しています。ストーリーのテンポを作るためですのでご了承下さい)
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