年越しはみんなで 3
直箸禁止はカビ臭いルールなどとアホなことを言う人がいますので説明しますが実際に焼肉などで直箸をして食中毒になったケースはありますしウナギやキノコ類は生で触ると毒になります。直箸は熱を通していない毒に触れる行為で普通に危険なのです。やめましょう。
さて、最後の仕事が残ってるぞ。まず水炊きは止めて、とにかくアクや残骸が多いので濾していき、別の鍋に貯めます。野菜や練り物などアイちゃんが用意したお蕎麦セットを入れて火をつける。合言葉は、そう、沸騰させない!
なんでも焼く炎の女は煮物だけは沸騰させないぜ。もちろん沸騰させた方が臭みは飛ぶので一回は沸騰させる。火を弱める。
ギリギリをつかむには沸騰させるのが早いからね。
こっちは本物のかえしだ。醤油、みりん、砂糖、だけど私は砂糖はあんまり使わないかな。代わりに料理酒入れたり、醤油も薄口。
甘すぎるのはくどい。それを投入。味の調節なんで全部入れたらダメでーす。
「ちなみに私の料理の分量は全部『てきとーに勘で』でお願いします!」
「なんてひでえ料理人だ。ほれぼれするぜ」
「逆にね」
「ししょーはマインドもローコストねー」
「お姉ちゃん勘が命だからね」
ひどい言われようです。さて、蕎麦を湯がく鍋にもお湯を張って、こちらは沸騰させます。煮るんじゃなくて温めるだけだからね。
「はい、みんなどんぶり持ってならんでー、スタッフさん鍋を片づけしてくださーい」
「はーい!」
みんなもう深夜ぁ。大声出さない。まあご近所遠いんだけど。となりが一件ずつ空き家なんだよね。怖い。
温めたお蕎麦に大谷さんが具だくさんの汁をかけていく。信じられる? これ鍋のシメなんだよ?
「そう言えばそうじゃん、すげえ!」
「お見事!」
「一生ついていきま……ずるるるるっ」
「エセアメリカ人は蕎麦すすれるんだねー!」
まったく。最後に私と大谷さんのを湯がいたら、やっと私も飲めるぞー!
「お疲れさまでした」
「ありがとうございます、大谷さんも!」
チン、と二人でジョッキを合わせて乾杯です! ブドウチューハイにした。……うちのサーバーいくつあるんだ?
ふう……では。……ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ、……んんんっ、ぷはー! 最高です!
さっさとこたつ二台の場所取りして蕎麦をすするみんなと合流します。アイちゃんのお惣菜チャレンジが始まりました。私は蕎麦をすする。ずるずる。
今日は明けるまで飲むぞー。次はなんにしようかな。レモンで。
お刺身を持って行こう。鍋パ中も食べられてたんだけどまだまだたくさんある。腐らせたらつまんないからね。
ちなみになぜか冷蔵庫が業務用になってる……。いつ運び込んだの? スパイがいるの?
「ちなみに電気代もうち持ちです」
「怖いよ?!」
大谷さんはスパイの元締めだったのだ……。いや知らんけど。
「こんな楽しい年越しはいつぶりかしら」
「お嬢様は毎年パーティーに行っておられましたからな」
「バカよね、私はどんな男にもなびかない。少なくともナオコやアカネみたいに面白い子じゃなければ」
「ハッハッハ、楽しそうですなあ!」
「あれ、サヨリさん珍しく進んでないですね? 私はもう一杯いきまーす。ビール!」
「待って、私も行くわよ! 白ワイン!」
「あ、ワインもあったんだ。じゃあ次はそれにしよ!」
って、サヨリさん、白ワインはジョッキに注ぐものじゃありません!
洗い物をしたりジョッキを冷やしたりはスタッフがやってくれてる。豪勢だなあ……。
おつまみにナッツとか唐揚げとかフライのお惣菜も並べる。私の肝臓よ、もってくれー! ごきゅごきゅごきゅ、ぷふぁ。ふー! あれ、もうないや。白ワインはチビチビやろう。今日はみんな眠らないみたいだし。
「あ、除夜の鐘!」
「おお、なんかいつもの年よりグッとクルな」
「良い音ですわ」
「これぞジャパニーズ年越ーしねー!」
「あ、そっか」
みんな、明けましておめでとうございます!
そのあとめっちゃ宴会した。
近場の海にみんなで向かう。海は北にあります。さむーい。
この辺りは雪はめったに降りません。なのでみんなけっこうラフな格好にコートなどをはおっているだけ。寒いならカイロも用意しています。
今年はみんなに会えたし、とっても幸せだったなあ。来年も良い年になりますように。
「うわあっ」
「おおっ、きたきたー!」
「……きれい」
「ジャパニーズ! ジャパニーズ!」
「お前もジャパニーズだろうが!」
「うううん、……はつひのでーっ!!」
新しい年の、新しい太陽が顔を出しました。
今年もたくさん飲むぞーっ!
一日十四話更新は大ボリュームですね。




