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ひとパ☆  作者: いかや☆きいろ
接客しよう!
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まかないパーティー

 曇った眼ではなにも見えぬぞ!


 曇り空が見えます。



 寒くなってきました。最近は……渡海高校の生徒さんたちが私を見るたびに拝みます。私にはアンナさんを殴る権利がある。とめないで。


 ……なんで布教してるかなあ……。しかも悪い方で。ま、まあ今日は楽しみな日なので、許してあげるとします。


 今日は大将の新メニュー考案、まかないパーティーなのです!


 アイちゃんにも無理を言ってついてきてもらっ、て、ます。


 アイちゃん目がキラキラでよだれダラダラだけど私無理言ったんだよねぇ?!


「ぜんぜん、ぜは、ぜは、じゅるり、大丈夫だよ、ぜは、お姉ちゃんとおでかけ、ぜは、ごくり、嬉しいな!」


「大変過呼吸でアイちゃんが死んじゃう!!」


 とっても素敵な嘘をありがとう。そんなに大将のまかない食べたいか。そうだよね。なんなら私も過呼吸ぎみだもの。そんなぜはぜはとは言わないけど。この子食欲で死ぬタイプだ。ごちそうが突然食べられなくなったらその場で真っ白になって永眠しそう。


 お姉ちゃんは心配です!


 今日はお休みで大きい定休日の看板が出ていますが正面から入ります。アイちゃんどうどう。


 今回のご飯はあくまでも大将の新メニュー考案です。期待しすぎるとあれ?ってなるかも。


 お店に来るといつものメンツとは別に数人いますね。大将のゆかりの人でしょう。三人の待つテーブルへ。なんでもう飲んでるんですか。え? 自腹で樽を運び込んだ?


 まあいつも大将には迷惑かけてますから仕方ないですね、いいでしょう。生くださーい。


「ぷっはー。うめえ」


「うんうん、ごくごく」


「おつまみが欲しいですね」


 なぜか置かれてるナッツ類をつつきつつ話していると大将が一品目を持ってきてくれた。


「これが一品目。一番に廃案にしたカニクリームコロッケだ」


「おお、うまそー!」


「美味そうですねー! なぜ廃案なのですかー?」


「コストもそうなんだが、クリームソースを作るのに時間がかかっちまってなあ」


「なるほど、割に合いませんね」


「商売ですものね」


「ほら、アイちゃん、特盛ご飯。来てくれてありがとうな。じゃあ他のテーブルまわるわ」


「ありがとうございます!」


「礼儀も正しいとかホント才能な」


「こっち見て言わないでください」


 カニクリームコロッケでみんなで飲んだり食べたりしているうちに二品目が来た。


「二品目、マグロハンバーグ丼。なんか一味足りないんだよなあ。意見があったらくれや」


「おおおっ」


「大きいハンバーグですわね」


「美味しそうでーす!」


「いただきます」


「いただきま~す!」


 肉厚のハンバーグと甘辛いたれ。それにキノコソテーを絡めて大葉をそえている。美味しい!


 けど確かにこれだけだと普通すぎてマグロを使うのにお金を取れない。


「骨煎餅をそえるのは?」


「面白いなそれ。さすがアカネちゃんの発想はズレてるというか、悪い意味でなく」


 大将には私が異星人に見えるらしい。このハンバーグは素直すぎるから香ばしさを足したかったんだよね。骨煎餅なら作業の合間に作れるし。


「ノータイムで出るのがすげえ」


「いつも考えてるんですわ」


「さすがししょーなのでーす」


「師匠になったの? お姉ちゃん」


「ああ、それ話しておかないと」


 アイちゃんにアンナさんをうちに招けないか、と聞くと一も二もなく賛成された。来週からアンナさんはうちに来るらしい。ちなみにお家賃はもらいます。


「全員頭の文字が『あ』ですわね」


「ホントだ、すげえ」


 まあ、まとまった方がかえってわかりやすいってこともありますよね。うちの茜と藍は両親がわざと頭にあのつく染料から選んだらしい。謎である。


 大将は他のテーブルで意見を聞くと三品目に入った。しばらく丼をつつきながらライムチューハイを飲む。クックックッ……ふう。もう一杯頼も。すみませーん。


 そうこうしているうちに三品目。これはわかりやすい。


「これが一番無難なやつでな、シーフード天三種盛り。つまみにして飲んでくれ。調味料は三種。塩、ソース、天つゆだ」


「これは外れがない!」


「イカと貝柱と海老ですか。いただきますわ」


「貧乏人に優しい価格でお願いしまーす」


「海老おっきいねー、お姉ちゃん」


「うん。これは外す方が難しいし足すものも難しい」


 こういうスタンダードは無駄に手を加えると客層が片寄ったりする。手を加えるとするとおろしをそえるとかしかないし、割合邪魔になりそうな品数である。


「おろしか……なるほど、そうなると醤油もあるし……しかしボリュームを減らしたくないし皿もいっぱいだ。いいんだがなぁ~」


「大将も悩ませる。それがししょーなのでーす!」


「プロに意見を言えるのはすごいな」


「こちらは言いっぱなしで経営とか考えてませんから、だから言えるんですよ。おろしをひとつ作って保存して廃棄して、大変ですよ」


「なるほどなあ」


「トップは多角的に考えないとダメですからね」


「難しいですねー!」


「もぐもぐ」


 アイちゃんマイペース。お米無くなっちゃう。


「おろしがダメならツマをしくのはどうですか?」


「お、おお、それだ、それなら違和感ない! ありがとなアカネちゃん!」


「ごくごく……」


「もぐもぐ……」


 なんかよくわからないが、みんなが満足したようでよかったです。帰って飲みなおしますか!






 方向性の違いってすごく楽しいと思いますが。



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― 新着の感想 ―
[良い点] <曇った眼ではなにも見えぬぞ! <曇り空が見えます。 開幕この世の心理たすかる。 某も崇めていいのならアカネさん崇めますけどねぇ!? アカネさんはあまり目立ちたくないタイプでございま…
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