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高原で風呂上がりにビールを呑もう

作者: GONJI

かつて毎年夏になると長野県の北志賀高原の音楽ペンション村へ合宿に行っていた

大阪を深夜に出発する

西名阪から名阪国道に入る

先日、惜しくも半世紀以上の営業の歴史に幕を閉じた名阪上野ドライヴインを横目にしながら一路長野を目指す

東名阪道に入り名古屋方面へ

途中のパーキングエリアはもちろん営業時間外なのでトイレ休憩だけ

当時は今ほど高速道路も整備されていなかった

もちろんカーナビなんて便利なものもない

地図片手にゴールを目指す

名古屋の市街地に入ると道案内の標識の少ないのに難儀した

今どの辺りでどの方向を向いているのか解りにくい

それが率直な感想だった

なんとか中央自動車道に乗れると半分来た気になりホッとした


中央自動車道を長野方面に走る

まず混むことはない時間帯だ

ただ、途中で恵那山トンネルという8キロを越える当時は世界で2番目に長いトンネルがある

このトンネルを通行するのが憂鬱だった

長過ぎる

一番初めだけ初体験で通行したが、翌年からは手前の中津川インターチェンジで高速を降りて国道19号線を走るルートに変えた

長野県ご出身の方によるとそうする人も多いと前もって助言いただいていたからだ

国道19号線は木曽川に沿った道路だ

この頃になると夜が明けかけてきて薄暗い朝に木曽川から立ち上る湯気のようなものが幻想的な風景を醸し出す

風情があっていいものだ

ただ、道路は対向車線ありの大型車も通るワインディングロードであり、自分以外の運転手のことを信用していることが前提で走っていることに気付かされる

信用していなければとうてい走ることはできないであろう

当時この辺りのお楽しみがそば屋だった

国道沿いに早朝から長距離ドライバー相手の立ち食いそば屋が営業していた

ちょうどお腹も空いてきたころに軽く食べる

長野県で食べるそばには特別なブランドを感じる

長野のそばは特別だ

夏とは言え早朝は肌寒い長野県に温かいそばは心に染み渡る

木曽川から登る湯気を見ながらのそばはここでしか味わえない

腹ごしらえがすんだら出発だ


長野県は南北に長い、それを南の端から北の端近くまで制覇しようとするのだからそれなりに時間はかかる

塩尻市辺りまで来ると高校の時の修学旅行で行った霧ヶ峰と諏訪湖の旅館を思い出す

バスで移動した懐かしい思い出だ

そう言えば母校の霧ヶ峰でのキャンプの時には毎年静岡のとある商業高校がいつも同じ日にキャンプに来ているらしく、その時もかっこいい男子とかは文通を申し込まれていたのを思い出した

携帯電話なんてもちろんないし、ポケベルもない時代だ

まあ、私には全然関係のない話だ


この辺りから風景も街になってくる、すぐ北隣が松本市だ

考えてみれば松本市にはあの有名な松本城もあったのに当時は素通りしていただけだった

やはり北志賀高原をひたすら目指していたのだろう

松本市を抜けると国道19号線は再び山道になる

道沿いを流れる川は犀川だ

犀川沿いに長野市を目指す

松本市と長野市の関係なんかも考えながら走る

長野県には長野ナンバーと松本ナンバーが存在するので、この2つの市の競争を勝手に想像してしまう


山道を抜けて開けたところが川中島だ

武田信玄と宿敵であり永遠の盟友となった上杉謙信の戦の場所だ

長野市に来たという実感が湧く

ここで犀川とはお別れして国道は長野市街に向かう

国道19号線はこの長野市で終わってしまう

ここから国道406号線から国道403号線へと向かう

しかし、長野市にもあの有名な善光寺があるのに素通りしていただけだった

なんとも猪突猛進な若い頃なのだろう


千曲川を渡り道なりに進む

そして山道に入っていきなり高原が開けたらそこが目的地の北志賀高原だ

着いた!

高原のあちらこちらに外から見えるようにガラス張りの貸練習スタジオが立っている

さすが音楽村だ

予約してあるペンションにも練習スタジオがある

到着して機材を降ろしてゆっくりしたら早速リハで音を出す

高原に響くサウンドはまたひとしおだ

環境が良いと心も弾む

まあ、夜の宴会が楽しみなのかもしれないが・・・


風呂に入った

気持ちがいい

空気が澄んでいるとこれだけ違うものか

風呂上がりベランダに出たが、夏だと言うのに夜はトレーナーでも着ないことには寒すぎる

でも、トレーナーを着てそのベランダで呑む生ビールが最高に旨い!

当時、人生で一番うまいと感じたビールだったと思う

数十年経った今でも事あれば「長野の高原で風呂上がりに外でビールを呑むと最高に旨い!」といってしまうぐらいだ


結局、毎年行っていた合宿で一番心に残っているのが、このビールの美味しさだというのも笑える話だと思う

満点の星空よりもビールが旨いと思うのは単純に酒呑みの性分だからだろう

いまだにその性分を謳歌している自分がいる

でも、また夏に長野へ行ってみたいとつくづく思う


ちなみに長野からの帰阪はいつも新潟県周りだった

同じ轍は踏まないタイプなので(笑)


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