4月19日 進路
昨日は、颯希とまた進路の話をしていた。4月になってから、早くも3度目のことだった。ここまで、されると颯希に申し訳なくなってしまう。大学に行ってみたい思いがないわけではない。ただ、今の家庭状況を考えれば、颯希だってそうするのではないかと思ってしまう。
颯希や真波は、私にとって尊敬する人物であり、ライバル。だからこそ、負けたくない。颯希は、朝の6時から夜中の11時まで毎日勉強している。一方の真波は、まだ、勉強というより、バスケに力を入れている様だった。
この二人に負けたくないのは、勉強でもスポーツでもない。決して、勉強やスポーツで完全に負けているという意味ではないが、二人も凄い。私が最も負けたくないのは、"想い"だ。とても抽象的すぎてよくわからないと自分でも思う。私は、自分の想いを体現できるよう生きてきたいと考えている。そのためなら、なんでもしてきたのが私の人生だった。
その最たるものが、3年前の市内の陸上競技会だった。私は、あの日、倒れた後の記憶がほとんどなかった。気づいたら、病院にいて。気づいたら、家にいた。陸上競技会が終わってから、確か2日ほど休んでいた。
本格的に走れなくなったことを理解したのは、陸上競技会から4日目にいった病院の時だった。今でこそわかるが、私が入院した時から、多くの人がもう走れなくなるんだとわかっていたような気がした。私の家族だけでなく、彼氏の北條傑や友だちの寺崎美桜も、理解している様だった。
私自身は、走れなくなったことに対して、すぐ切り替えることができなかった。毎日、現実を受け入れれず、いろんな病院を探すことに必死だった。当時は、東京まで診察しにいった。
ー3年前ー
目の前には、白い壁が。ここは、どこだろうか?下を見ると、男の人同士がケンカをしていた。2対2?それともタイマンか?他の男の人たちは、疲弊した体で、二人のケンカを見ていた。私が見ているのは、タイマンの勝負だった。
男のケンカってどういうものだろう?今は、ドラマや映画で見るような殴り合いのケンカなんて見られないから、久しぶりの感覚だった。タイマンしているのは、2年の鴻野と1年の馬場という男たちだった。
勢いよく1年の馬場が仕掛けるも、鴻野に攻撃が当たらない。それでも、馬場は、攻撃し続ける。鴻野は、馬場の顔を見ながら攻撃をよけていく。何とも言えない一方的なタイマンになっていた。