4月18日 リレー3
今日は、久しぶりに颯希と会うことになっていた。颯希は、今日も大学進学について話すんだろうと勝手に思っていた。私は、大学進学を諦めたが、颯希は、私に進学してほしいという思いをもってくれていた。
こんな友だちに出会えたことは、私は本当に恵まれていた。颯希と真波みたいな切磋琢磨できる友だちは、これからの人生でもきっと見つからないだろうと思っていた。
ー3年前ー
午後から始まった200Mリレーは、アンカーの第4走者へとバトンが渡っていた。私は、右手で大野からのバトンをとり、走り出した。
私は、必死に、前を行く八代東中学校の五十嵐の背中を追った。右手で握りしめたバトンを胸の近くまで持ちながら、両腕をふった。
第1コーナーを回るころには、五十嵐の背中がさらに近くなった。そして、早くも走り出して2秒ほどで、五十嵐の少し右側に行き、並列になることができた。インコーナーからアウトコーナーへと変わったが、私のスピードは全く落ちていなかった。
そして、第2コーナーにさしかかったところで、五十嵐を抜いた。私が一人追い抜くと見物客たちの歓声が上がった。しかし、それが私に向けたものではなかったことではないことに後に気づくのだった。五十嵐を抜いた後は、再び、インサイドの白線近くを走った。そして、前を行く八代南の高田を追った。五十嵐を抜いたが、高田とは、大きく離れていた。陸上部のプライドもあり、負けるわけにはいかなかった。すると、前の高田のペースが少しずつ落ちている様に感じていた。ついに高田の真後ろまで近づくことができた。
もうすぐ、第3コーナーを迎えた。一生懸命走るも、高田との差はなかなか縮まらなかった。少しずつ、後ろから足音が近づいてきた。後ろから来たのは、大森中学校の矢田だった。矢田は、私がバトンを受け取った時は、5位。つまり、矢田は、私の後ろにいた、皆川と五十嵐を抜いてきたということだった。
だんだん、第4コーナーで待ち受ける八代北中の生徒たちの声援が大きくなっていた。しかし、高田の横に並ぼうとした瞬間、私の足に大きな激痛が走った。あまりの痛みに私は、顔をしかめてしまった。そして、激痛のあまり、前を行く、高田の右脚の靴がボヤけて見えてしまった。ボヤけて見えた次の瞬間、高田の右脚の靴と私の足が絡まってしまった。前の高田に覆いかぶさるように、私の視界は少しずつ見えなくなっていった。