6月27日 もがき
私は、体育祭のことを考えながらゆっくりと歩いていたら。朝のこの時間は、まだ落ち着いているみたいだ。ほとんど車は通っておらず、時折通る車に違和感を感じていた。私は一歩ずつ、呼吸とリズムを合わせながら、進んでいた。体育祭は、6月29日だ。"聖淮戦"が終わってから、あっという間だった。私は、ゆっくり歩くとともに心拍の鼓動が聞こえてくる。私の髪は歩くとともにに小さな弧を描いている。汗の粒がおでこからゆっくりと垂れてくる。まだ、6時過ぎなのにこの暑さは大変だな。今日の目標は、約2キロ。帰ったら、弟たちの弁当も作らないといけない。弟たちは、7時には家を出ていく。垂れてくる汗を、服で拭う。ここで立ち止まったら楽なのになと思う自分を、否定し前へ押しやる。
なんかな。なんか違う。自分で疑問を抱いていた。最初に歩いたくらいで何か変わるわけではない。
まぁ、それでも仕方ない。もがき苦しみながらしか答えは出ないのだから。それは、淮南興奮の南坂から教えてもらったのだ。彼女は、いろんなしがらみを受けながらも真正面から戦っていた。そんな彼女に対して私は批判することしかできていない。南坂は、私たちの体育祭を見に行きたいとすら言っていた。まぁ、本当に来るのかは知らないけど。いつもはここまで歩いていないこともあり、私の鼓動は早く、呼吸は深く荒れている。こんなに呼吸が乱れてしまうのだろうか?私は不思議で仕方がなかった。
体育祭を私が走ることはない。どちらかというと、クラスの応援合戦の対応などをしないといけないだろう。今年のクラスメンバーは本当に大変だ。個性が強くまとまりにかけることも多い。野球部の橘、橋本、八幡。他にも横山、中村、野間たち。彼らが混ざると何かとトラブルが起きる。そこに特性がある白洲などが目をつけられるとロクなことが何一つ起きない。それをまとめないといけない私や西畑は大変だった。女子も諏訪や佐藤など摩擦が生じると面倒くささはある。私は、ちょうど折り返しを終え住宅街に入っていた。ここの住宅街は、この田舎
の場所で一番人が多くいるところだ。住宅街を抜けるとまた体育祭のことが頭をよぎった。目の前の信号は、赤になり立ち止まることになっていた。腕時計を見ると、6時20分過ぎ。歩き始めた時よりも周囲のざわめきが大きくなっている。二人の弁当を作るために少しずつスピードを上げ始めた。




