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6月24日 6区(聖淮戦)

 スタート時には、約50秒の差があった。しかし、若林のスピードには、淮南高校の選手もついていけなかった。まるで、小学生と高校生くらい違う。5キロということ距離が若林にとってもラッキーだったのかもしれないが、それは若林の想いでもある気がした。私は、ゴール直前で抜くかなと思っていたがラスト1キロで既に抜いていたのだった。中間地点にいた私から給水をとることなく、ただただ前を向いて走っていたのだった。ここからだったら、ペースを落とすことなく最後まで行く気がした。なんでこんなに速いのだろう?まるで、あの時の傑みたいだった。中間地点からゴール前に戻ってきた私は、若林を待った。さっきまで走っていた野中や吉見たちは、大きな声を出していた。若林といつも走る二宮は、冷静に見つめていた。たかが、駅伝とはいえ負けるのは嫌だ。みんなそう思って、ここまでタスキをつないだに違いない。みんなが一生懸命走ったタスキの重みを感じながら、若林も走っているはず。あっ、見えてきた。私たちの周りは一気に歓声が上がる。序盤から飛ばし過ぎたのか、後ろには淮南の選手も来ていたのだった。


 ー6月19日ー 19:30


 山﨑「なんか困るのか?」

 私 「いや、別に」

 山﨑「あの頃のことを掘り返すな」 


 やっぱり何考えてるかわからないな。こいつ。

 

 私 「掘り返されたら、そんなに困るの?」

 山﨑「お前こそ、何がしたいんだ?」

 私 「別に何もしないよ」

 山﨑「俺は、お前がなんか嗅ぎ回ってんのかと思ってるよ?」  


 やばっ。バレてるな


 私 「嗅ぎ回ってるなら、直接聞きに来ないでしょ」 

 山﨑「ふーん。まぁ、いいけど」


 これ以上、話せば危険性がさらに高まる気がした。一旦、ここは引き返すのがいいか?でも、引き返せば引き返したらバレそうだ。


 私 「今、学校生活は楽しいの?」

 山﨑「いや、ぜんぜん」  

 私 「そうなんだ」

 山﨑「お前も気をつけた方がいいぜ?」

 私 「何を?」


 ゾッとする。山﨑にそう言われると。


 山﨑「ここら辺の地域には、悪い奴らもいるんだ。決して治安がいいわけではない」  

 私 「それは知ってる。あの時にいろいろ聞いたし」

 山﨑「なら、あんまり俺たちと関わるな」

 私 「どういうこと?」

 山﨑「俺たちも遊びでつるんでるわけじゃないんだ」  


 遊びじゃないってどういうことなの?

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