表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/80

6月23日 5区(聖淮戦)

 淮南高校の選手とは約40秒さという展開。もう、ほとんどの人が諦めているだろう。一方で、呼びにいった若林は、全く諦めていない。立ち姿からは、話しかけれないくらいオーラが漂っていた。今まで、こんな若林は見たことがなかった。俺がエースだと言わんばかり。もう間もなく5区を走っていた山笠が帰って来ようとしていた。一足先に、淮南高校の選手が帰ってくる。"ラスト!!"。大きな声が入ってくる。しかし、それは聖徳高校に向けられたものではなく、淮南高校の選手に向けられたもの。決して、私たちにとっては気分がいいものではなかった。そういった雑音は、若林には全く聞こえてないんだろうな。


 ー6月19日ー 19:00


 山﨑「珍しいな、お前から連絡するなんて」

 私 「そう?」 


 "聖淮戦"を終えた私は、


 山﨑「どうしたんだ?」

 私 「篠木のこと聞きたくて」

 山﨑「篠木?」


 思わず聞き返してきた。たしかに、私たちにとっては、だいぶ昔のことだった。


 私 「聖徳の篠木。覚えてるでしょ?」

 山﨑「ああ、アイツかぁ」

 私 「うん」 


 私服で会う山﨑は、どこか新鮮だった。


 山﨑「何が聞きたいんだ?」

 私 「私、あの人のこと詳しく知らないんだ」

 山﨑「なんで知りたいんだ?」

 私 「この前、少し話す機会があって」


 表情は、変わらなかった。変な疑いをかけられたくはないから、ちゃんとした説明にならないか不安だった。


 山﨑「何を話せばいいの?」

 私 「どんな性格かとか」 


 スマホを触りながら話し始めた。


 山﨑「性格かぁ。結構、こだわりが強いイメージはあるかな。負ける勝負にはのらない。やるって言ったことはどんなことをしてでもやり続ける。そんな感じかなぁ」


 たしかにそれはあるかも。この前の打ち合わせの時もそんな感じはした。あの日のリレーの時もそうだった。あの時、やめてれば、今も走れたかもしれないのに。


 私 「やっぱりそうなんだ。あの日のことは、バレてないんだよね?」

 山﨑「ああ。バレてないよ」

 私 「バレることはないの?」


 鋭い目つきで私の方を見てきた。


 山﨑「誰かが言わなきゃ、バレないだろ?」

 私 「だって、バレたら犯罪と言われても仕方ないでしょ?」 

 山﨑「バレなきゃいいんだよ」 


 もし、バレたら?山﨑は、そんなことを考えているのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ