6月20日 2区(聖淮戦)
まるで、私たちに流れを引き寄せるかのような走りだった。1区の二宮は、序盤から攻めたレース展開を見せた。向こうの選手に食らいつきながら走っていく。3秒ほど遅れて藤井にタスキを繋いだのだった。私は、アンカーの若林が走るまではここで見ようと思っていた。ここだと、他の競技も見れる。他の競技で気になっていたのは、野球部、サッカー部、女子バスケ部の3つだった。
サッカー部の試合は、後半39分と示されているようだった。どっちが勝っているのだろうか?前半戦からちゃんと見ていなかった私はどういう試合展開かはわかっていなかった。新しく誰かピッチに立つようだった。そして、時間が示されているボードの横にアディショナルタイムが掲げられている。どうやら4分みたいだった。どっちが勝っているのか私はわからない。ヤバい、完全に陸上の方を見てなかった。"篠木"。どこから、私の名前が呼ばれた。どこだ?横を見るけどわからない。今は、藤井がタスキをもち走っていた。すると、後ろから若林がやってきた。
若林「なにサッカーばっか見てんだよ?」
私 「見てないよ」
若林「勝ってんのかな?アイツら?」
首を傾げながら返答した。時間はわかるけど、得点まではわからない。
若林「ちゃんと中間地点いろよ?」
私 「わかってるわよ」
なんか真っ向から言われると、ちゃんとしていないみたいでムカつくな。
若林「今からジョグしてくるわ」
私 「今から行くの?」
若林「ああ。だって、今負けてるんだぜ?」
負けていることとジョグすることは関係しているのか?よくわからなかった。
私 「わかったよ」
若林「今日は調子よさそうだ」
私 「そうなの?」
若林は、ロードよりもトラックの方が向いている。だから、駅伝もあまり向いていないと思っていた。
若林「なんかな、今日は脚も動いている気がしてて」
私 「じゃあ、勝てそうなの?」
表情から自信がみなぎっているように感じた。
若林「俺にタスキが渡るまで、1分以内であればチャンスはあると思ってるよ」
私 「1分って相当だけど」
1分以内であれば、ギリ粘れるんじゃないかと思っていた。あとは、短距離の選手の人がどれだけ頑張ってくれるかだろうな。
若林「期待してもらって大丈夫だから」
笑みを浮かべながら、ジョグをし始めた。




