6月8日 準備
蒼大は、素振りから帰ってきたのかとても疲れた様子だった。汗を拭きながら、お茶を飲んでいた。
夕暮れの薄明かりが差し込む中、疲れ果てて体の節々が痛んでいるようだ。筋肉は悲鳴を上げているみたいで歩くのもやっとみたいだ。私は深呼吸をして、体をほぐしていた。すると、額に汗がポタポタと落ちる蒼大を見つめてしまった。豪快にシャツを脱ぎ捨て、汗を拭いていく。いくら弟とはいえ、体をジロジロとは見てはいけない。私は、すぐさま目を逸らした。私は、ソファに座り込み、蒼大がこっちに戻ってくるまで待つことにした。
目の前にあるテーブルは、お母さんが亡くなる前に買ったものだった。この机でよく話していたことを思い出した。蒼大は、冷蔵庫の物を何やら音をたてながら探しているみたいだった。どうやら、プロテインを探しているみたいだ。プロテインをシェイクして容器にいれる。以前、蒼大が作ったものをの一口飲んだけど、その苦みに私は、耐えられなかった。すると、プロテインを片手に私のところまでやってきた。何かを話したい様子だったので、私はゆっくりとテレビに目線の合図を送っていた。
私 「明日、何時に起きるの?」
蒼大「うーん。6時くらいかな」
6時かぁ。明日は、試合があるみたいだ。もうすぐに迫った夏の大会で勝てたらいいんだけどな。
私 「わかった。明日、弁当作るね」
蒼大「明日はいいよ」
私 「なんで?」
相変わらず私に遠慮したいはみたいだった。いつまで、こんな感じで蒼大に思われるのだろうか?早くお母さんの代わりにならないと。お母さんなら、どうするか考えていた。到底敵わないのはわかるけど、何もしないのもまた違うと思っていた。
蒼大「練習昼までだし、帰って食べるよ」
私 「いつも、帰ってくるの遅いじゃない」
蒼大「まぁ、それはいいよ」
何が言いたいのかさっぱりわからない。蒼大と話をしているだけは本音を探せなかった。
私 「じゃあ、お金持っていきなさい」
蒼大「いやいや、いいって」
意地でも、なんとかしようと思った。彼の残りの中学校生活が誰よりも楽しくなるように祈っていた。
私 「1000円あれば足りるでしょ」
蒼大「いらないって」
私 「えーっと」
黒いの財布を取り出し、お金を探した。ちょうど1000円札を取り出して蒼大が座るだようと同じところに座っていた。




