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6月4日 変化

 紅白戦が終わってから、私の家で変わったことが大きく3つあった。1つ目が、雄大が本気で練習し出したこと。これまでも、それなりに努力してたけど、それ以上になってしまったのだ。最後の4打席目。同じストレートを3球続けた。一球目、二球目は同じ速度くらいのストレート。そして、最後は、一球目と二球目より速くなったストレートだった。想定していた以上の速さだったのだろう。ボールがきたくらいにバットを振ったのだった。ベンチに戻ってくる姿は、いつもの何倍も俯いているように感じた。打てなくて、とても悔しかったんだろう。あれから、兄に負けじと素振り、ランニングの量が増えたのだ。姉としては、そんなに頑張らなくていいのにと思ってしまう。

 雄大は、雄大で頑張ればいいと思っていた。あの日のかわいい雄大の姿はもうなかったのだ。また、たくましくなったということなのだろうか?蒼大は、昔から大人びていたから、いいけど。雄大が真面目になったらなぁ。なんか寂しいよ、私は。とうてい、本人には言えないけど。2つ目に変わったのが、起きる時間だった。普段だったら、二人とも6時に起きていたのになぜかそれが5時30分になっていたのだ。

 早く起きて、早く登校するわけではなかったけど、お弁当を作る私にとってはめんどくさかった。あまりにも二人が早く起きるのでキレそうになっていた。二人は、起きて素振りとかランニングをしているみたいだったが、そんなのは学校でできる。朝から、そんなことをしていたら近所から嫌がられるからやめてほしいと言うのが本音だった。しかし、一生懸命頑張る二人を止めることは難しい。もうすぐ、蒼大は引退だしそれまでは温かく見守ることにはしていた。

 そして、3つ目にお父さんが休みの日に出かけることが多くなったのだ。普段なら、家にいることが多いのに、ここ最近は車でどこかに行っているみたいだ。何をしているか聞きたかったけど、なかなか聞けるタイミングがなかった。お父さんは、私にドライブだと言っていたがドライブの長さではない。丸々一日いないこともあるくらいだ。それでも、お父さんの様子を見守ることにした。蒼大や雄大同様、まずは見守ってそれでもわからなかったら聞くことにしたのだ。

 この3つの変化に戸惑いつつも、今日も元気に過ごしていた。朝早くから、弁当を作ることは変わらなかったし、作っている自分がとても好きだった。これからもこんな日が続けばと思っていた。

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