6月3日 紅白戦12(第4ラウンド)
中間テストが終わり、次の期末テストまで勉強をしなくてよいのが嬉しかった。今は、勉強に充てる時間をプログラミングなどに充てたいというのが本音だった。
ー5月22日ー
セットポジションに入った蒼大は、雄大をじっと見つめる。正確に言えば、キャッチャーの源田なのだろうけど。足をあげ、第一球目をなげこんだ。インコースストレート。雄大は、振らなかった。ストライク!!いいボールだ。"あそこのボールは、振ってもヒットにすることはできない"。横にいた橘が声を上げた。正直、野球に関してはわからない。けど、二人が熱くなっているシーンは、姉として嬉しかった。
ここまで、3本打たれてるんだ。そりゃあ、兄として蒼大も譲れないものもあるだろう。サイン交換が終わり、二球目を投げ込もうとしていた。どうなるだろうか?この対決。カーン。鈍い金属音が聞こえてきた。打球は、キャッチャーの後ろに飛んでいく。ボールをめがけて源田は走っていく。ガァァン。バックネットに当たりボールが落ちてくる。バックネットに当たって落ちた時は、当たり前たが、ファールの判定となる。初めて聞いた時は、驚いたけど、そういうものだと今は納得していた。
審判からボールを受け取った源田は、ピッチャーの蒼大に向かってボールを投げ返した。これでツーストライクかぁ。おいこまれてしまった雄大は、どんな想いなのだろうか。マウンド上の蒼大は、ピッチング練習の時から、表情は、全く変わっていない。再び、セットポジションに入り、キャッチャーとサイン交換をしている。もし、ここで雄大が打ち取られたら試合が終了してしまう。
サイン交換が終わった蒼大は、セットポジションから左足を上げた。少し表情が違った。次の瞬間、ボールが指からリリースされた。あれ?さっきまでのボールと少し速さが違うように感じた。当然、これは私のイメージだけでなかったようだ。雄大のバットに触れず、キャッチャーミットに吸いこまれていく。こんなに速かったかな?ボールを受け取った源田は、笑みを浮かべて蒼大へとボールを返した。二死満塁のピンチをしのいだ蒼大は表情を変えずに整列しようとしていた。6対2で紅組の勝利。山城のピッチングに課題は残ったものの、打線のつながりや蒼大のピッチングなど申し分なかった。負けた、雄大は何かを感じ、少し俯いている様子だった。それでも、4打数3安打。立派な数字だろうと思う。




