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5月30日 紅白戦9(平常心)

 私は、明日からのテストに向けてシャーペンの芯が入っているかを確認していた。とりあえず、平均点を取る。これが、今回のテストでの目標だった。とれるかとれないかはわからないけど。


 ー5月22日ー


 セットポジションに入った蒼大は、淡々と投げていた。雄大に3安打目を打たれても、その後乱れることはなかった。5番の黒田をライトフライに打ち取ると、6番の星村を三振。そして、7番の橋川を打席に迎えていた。


 橘 「乱れないね、弟」

 私 「そうだね、そこが強みだからね」

 橘 「そうなんだ」

 私 「うん」


 昔から、そうだった。雄大は、わりと感情に左右されやすかったけど、蒼大は、淡々としていた。そういうところは、私に似たのかもしれないな。辛いことや苦しいことがあっても、あまり表面化させないから、実際にどう思っているのか感じ取ることが難しい。それは、長所にも短所にもなり得る。これから先、高校、大学、社会人になっていく中で、蒼大がどう生活するのかはとても興味深かかった。

 私には、わからないんだろうな。彼らの気持ちはあくまでも想像の域だ。こうなんだろうな、こうであれば理想なんだろうな。しかし、それが現実的にあってるなんてことはほぼないと思っていた。7番の橋川の打球は、蒼大の正面に飛んできた。軽快にさばき、一塁へ投げこんだ。審判から勢いよいアウトのコールが鳴り、スリーアウトチェンジとなってしまった。

 攻守交代となり、選手たちはダッシュしていく。ベンチへと戻って行った蒼大は、余裕の表現を浮かべていた。自軍がリードしている余裕か、雄大の対戦を気にしていないのか。反対に点がとれなかった雄大の方がどこか納得がいっていないみたいだった。中学校の試合は、大体7回で終わるから、白組は、そろそろ点が欲しいところだった。キャッチャーのポジションについた雄大は、最後の投球練習を捕球し二塁へ投げたのだった。


 私 「どうですか?ここまで見て」

 橘 「やっぱり、紅組の方が強いな」

 私 「私もそう思うな」


 試合は、5回裏が始まった。


 橘 「常に平常心でやっている紅組がこの先、点を重ねていくんじゃかいかと思うよ」


 雄大は、キャッチャーとしてチームのみんなに大きな声をかけた。


 私 「そうなの?」

 橘 「まだ投げてないしね」

 私 「誰が?」

 橘 「山城だよ」


 なんか前にも聞いたことのある言葉だった。

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