5月18日 勉強
6月1日からは、中間テストがある。4月に入ってからまともに勉強してこなかった私は、あんまりテスト前の勉強に追われていた。とはいえ、勉強だけに費やすということはできない。陸上部のマネージャー、プログラミング、弟の世話。いくら時間があってもキリがなかった。
今日は、学校の自習室に籠もって、遅くまで勉強していた。頑張っても、なかなか終わらない。問題自体は理解しても暗記科目になると、範囲が広すぎて勉強量が追いつかない。こんなことになるなら、もっとちゃゆとしておけばよかったな。悔しい想いを抱えながら、机の上に並べられた参考書とノートを見つめた。
一つ一つの問題をのんびりと解いている時間はない。いかに効率よく覚えられるかが勝負になってくる気がしていた。早く終わらせないと、弟たちも帰ってくる。とりあえず、明日の宿題を片付けることにした。右腕に力を入れて鼓舞するように問題を解き始めた。
耳に大きな声が聞こえてくる。この声の感じは、野球部な気がする。それに引き換え、私たちの陸上部は
、今日も淡々と走っていることだろうな。なんとなくわかっていた。私も、もっとメジャーなスポーツをした方がいいんだろうと。たしかに陸上もカッコいいけど派手さがない。野球みたいにホームランとか三振。サッカーみたいにシュートとか。そういうスポーツの方がよかったんだろうな。
なんで、あんな男に惚れてしまったんだろうか?あの男さえいなかったら、私が陸上をすることはなかったのにな。ここでいない彼氏の話をしても仕方がない。さっきの声で集中力が切れてしまった私は、廊下の窓からグラウンドを覗くことにした。
グラウンドには、太陽の光が照りつけていた。もう、17時だというのに暑そうだな。野球部の選手たちは、白いボールを打ち返していた。今、打っているのは、八幡かぁ。そう言えば、八幡って、、、、。昨年の"聖淮戦"を思い出してしまっていた。
八幡は、時折、監督から声がかかり、スイングが止められ、何かを指導されている様子だ。八幡は、すぐに指示に従って動いているみたいだ。真剣な表情で監督の目を見つめる。おそらく、野球部が目指すのは、勝利だけではない。みんなで笑って楽しむことも含まれるのだろう。八幡が熱心に指導を受けているのに、奥で橘や橋本たちはゲラゲラと笑っている。なんとも言えないけど、そんな姿が微笑ましかった。




