5月17日 叫び
今日は、久しぶりに陸上部の練習を見に来ていた。夕方の陽射しが優しくキャンパスに降り注ぐ中、陸上部の練習が行われていた。今日、練習に来ていたのは全部で6、7人くらいだろうか?私は、若林や二宮たちの走っている姿を見つめながら、タイムを測っていた。私がこれからのことを迷っているなんて、誰も知らないだろう。
土の埃が舞う中、走り抜ける選手たちの姿はまるで飛翔する鳥のようにキレイだった。片手でストップウォッチを持ち、若林は、私の前を通り過ぎていた。若林が通り過ぎると、後ろから山口、橋本、木本の集団が迫っていた。"3分!!"。私は、大きな声で張り上げた。若林より少し離れたところにいる二宮は、どこか調子が悪い様に感じた。
最近、部活に行っていないからそう思うだけなのか。本当にそうなのかはわからない。けど、昔から、若林と二宮は陸上部のツートップだった。入部当初から、彼らは長距離のエース的存在だったにも関わらず、お互い切磋琢磨で努力をし続けていた。
二人の走りには、私は、とても魅了されていた。大雨や大雪などのコンディションが悪い日でも、二人は、は決して淡々と走り続けていた印象があった。だからこそ、今日のように若林が他の選手たちより遅れているのを見ると抵抗がある。
二人に魅了されているのはそれだけではない。私が時々、マネージャー業をせず、帰ってしまうことは多く、それが批判の的になったこともたくさんあった。それは、今もそうだ。しかし、二人は、私を批判することは全くなかった。単純に私に興味がなかったり、いてもいなくてもいい存在であるということはあるけど、自分の中ではそれは違った。
これは、聞いた話でどこまで本当かどうかはわからないけど、部活動に来ていなかった時、選手からキャプテンの二宮、副キャプテンの若林に意見がたくさんきたことがあったそうだ。しかし、二宮も若林は、何も言わず、ただひたすらに部員を説得してくれたということがあったらしい。
それは、おそらく、二人は、私が怪我をしてマネージャーになっている経緯をしている数少ない生徒だったからだろうと思っていた。先頭で帰ってきた若林は、まだ3分に経っていなかった。後ろにいる山口たちの集団とはかなり差が開いていた。そして、さらに集団から遅れた二宮は、かなりヘトヘトになっているみたいで見ている私は、悲しくなってしまう。走っている二宮に声が届くようにも心から大きく叫んだ。




