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5月15日 新田真嗣

 今日は、月がよく見える。私は、2階の自分の部屋から外を見つめていた。満月とは言わないまでも、キレイな形をしていた。外は、真っ暗。時刻は、22時を過ぎようとしていた。空に映る次から徐々に視線をずらしていく。

 そこには、新田の家があった。新田とは、同じ高校3年生の男の子がいる家だった。小学校までは一緒だったが、中学校から、私立に行った。新田真嗣は、小・中・高とずっとバスケをしていて、成績も優秀だった。

 同級生では唯一、葬式にも参加してくれた。中学になってからはあまり会わなくなったし話さなくなったけど、とてもいい奴だった。新田は、これからどうするのだろうか?そんなことを考えながら、さらに視線を下げた。すると、何やら

人がいるのが見えた。

 まさか、、、、。もう22時というのに。おそらく、蒼大だろう。いつものこの時間になると、バットを振り終わっているのに今日はまだしてるのか。弟の雄大とは真逆をいく。私は、気になって、ベランダに出ていった。蒼大の姿がよく見える。蒼大は、二種類のバットを持っており、それを5スイングぐらいして変えているみたいだった。

 園田学院中学校との決勝戦を制した八代北中学校は、全国大会の出場を決めた。蒼大がランニングホームランを打った後は、その2点を守って勝利したのだった。6回の蒼大が打たなかったら、確実に負けていた試合だった。私は、野球をしたことがないから詳しくはないけど、同じところにいた橘くんたちが言うのだから間違いないのだろう。

 勝利が確定した瞬間、橘や八幡はとても喜んでいた。私も青山さんのお母さんとハグをしていたのを覚えている。我が弟ながらとても凄い。私は、自宅に帰ってきた蒼大に声をかけるも何とも思っていない様に見えたのだった。

 でも、そうしたことは過去の出来事のように捉えているような気がした。そんな蒼大は、私とよく似ていた。私は、お母さんよりお父さんに似ている。雄大は、お母さんに似ているのだろう。一方の雄大は、お兄ちゃんが活躍したというのに何も思っていない様に見えた。

 実際のところは知らないが、今日も部屋でゲームをしているのだろう。雄大も野球が下手なわけではないらしい。蒼大が言うには、本気でやれば今でもベンチ入りするくらいの実力はあるけど、どうにも本気で取り組んでないらしい。中学校くらいまでは、野球の上手さではなく、取り組み方みたいなもので評価することも多いとか。

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