5月14日 決勝戦3
諏訪「どうしたの?ボーッとして」
私 「んーん。なんでもないよ。弟どうしたかなって」
今日の昼ご飯は、どうしてんだろ?
諏訪「今日、休みなの?」
私 「今日は、昼までらしくて」
諏訪「そりゃあ、心配だ」
私は、口を押さえて、あくびをした。
私 「そうなんだよね」
諏訪「そういや、この前の大会、すごかったね。新聞も一面だったし」
諏訪の言う通り、あの日の試合は新聞にも取り上げられていた。
ー5月12日ー
バッターボックスに入った蒼大は、ピッチャーを見つめていた。サイン交換が終わり、第4球目を投げこんだ。蒼大は、足を上げタイミングを合わせた。鋭く振り抜いたバットは、ボールを運んでいく。
蒼大は、飛んでいくボールを見つめると、一気に走り出した。打球は、レフトとセンターが懸命に走るが追いつかない。グラウンドにワンバウンド、ツーバウンドと転がり、抜けていく。蒼大は、一塁ベースを回った。
左にいた青山さんのお母さんは、立ち上がりをメガホンを叩きまくる。一定のレベルから徐々に速くなっていた。あまりの速さに私は、耳が痛くなるくらいだった。それでも、あの嬉しそうな顔を見ていると、なんとも言えない気持ちになっていた。
右にいた橘は、大声で叫んでいた。何を叫んでいるかはよくわからないが打球の方に目をやりながら、橘の横にいた八幡と佐伯と騒いでいた。一塁ベースを回った蒼大は、二塁ベースを回った。これは、、、、。まだ、レフトとセンターはボールに追いついてない。ひょっとすると、あるかもしれかい。横にいた橘も気づいたみたいだ。問題は、三塁コーチが手を回すかどうかだった。
私も手を叩きながら、ボールの行方を見つめた。蒼大は、必死に三塁ベースを目指す。ボールは、ようやくクッションにあたり、跳ね返ってきたみたいだ。レフトは、ボールを掴みカットに入ったショートまで投げ返した。ちょうど、そのころ蒼大は、三塁ベースに辿り着く。
いけいけー!!そのまま行けや蒼大!!橘の声は、大きな声で響き渡った。レフトからボールを受け取ったショートは、ファーストに向かって投げこんだ。ショートからバックホームまではあまりにも長すぎる距離だった。
ファーストは、ボールをとりすぐさまホームに投げた。蒼大は、少し遠くからスライディング。ボールがキャッチャーのところに着いた頃には、既に蒼大の足がホームベースに届いていた。球場は、再び大歓声に包まれた。




