5月13日 決勝戦2
昨日の熱戦は、私にとっても衝撃だった。行ってよかったと心から思える試合だった。
ー5月12日ー
バッターボックスに入った2番新田。簡単にツーストライクと追いこまれてしまう。
橘 「おぅ、七海ちゃん」
私 「橘くん!!」
やってきたのは、橘、八幡、佐伯の三人だった。三人は、私の近くに座りながら試合を見始めた。
橘 「いい試合してるね」
私 「そうやね。今来たところ?」
橘は、ポケットに手を突っ込んだ。
橘 「うん。負けてんの?」
私 「1点差でね」
まだ、試合展開がわからないみたいだった。
橘 「弟どう?」
私 「私の?」
橘 「いや、俺んところ」
あんたの弟かよ。私は、見てないから答えようがなかった。
私 「次じゃない?」
橘 「マジで打ってほしいわ」
打球は、高々と上がっていく。しかし、全然伸びない。セカンドとファーストの間みたいだ。
橘 「ワンナウトかぁ」
私 「こっからじゃない」
橘 「そうだな」
いつもより、声が沈んでいる様子だった。打席には、橘の弟が入った。スタンドからは、一段と大きな歓声が響き渡っていた。
橘 「いけよー!!」
八幡「初球狙えよ」
佐伯「いけいけ!!」
一緒に来た八幡と佐伯も大きな声を出していた。初球は、ストライクとなった。大丈夫かな?次の打者である我が弟を見つめていた。これまでで一番真剣そうな表情をしていた。すると、金属音が聞こえてきた。
打球は、再び、セカンドとファーストの後方に飛んでいく。打球の行方に急いで走る。三塁ランナーの青山は、三塁ベースから真ん中付近まで進んでいた。とられそうだ。"もどれ!!"。横にいた橘が大きな声を出した。打球は、ライトからダッシュしてきた林のグローブにおさまった。地鳴りのような歓声に沸いた。
橘 「まじかよ!!」
八幡「うまいなぁ」
スライディングキャッチをした林は、みんなから褒められていた。
橘 「しゃーねぇよ」
八幡「まぁ、次やな」
みんなは、打席に立っていた橘の弟がをかばっていた。
八幡「篠木、来たな」
私 「うん」
橘 「打てそうか?」
私 「打ってもらわなきゃ困る」
いつにもなく強気だと自分でもわかっていた。でも、こので打てなくていつ打つんだと思った。
橘 「ハハハハ。お姉ちゃんは、大変だな」
青山さんのお母さんも大きな声を張り上げた。




