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5月9日 おにぎり

 このおにぎりは、少しまん丸くなってしまった。パリパリ感が特徴の海苔を上から包み込んだ。どうしても温かいお米に包むとノリがしなびてくる。しなびた海苔は、まるで枯れた花の様な姿だった。私は、二つ目のおにぎりを皿の真ん中にのせ、三つ目のおにぎりを握り始めた。

 昨日は、蒼大の中学校の2回戦。試合は、5対0で勝利した。蒼大は、投打で大活躍していたらしい。本人からは、勝ったことしか聞いていなかったが、たまたま今日会った他の野球部のお母さんから褒められた。私は、本人から聞いてなかったから、そうなんですねとしか返せなかった。

 そのお母さん曰く、投げては、7回4被安打7奪三振。打っては、4打数2安打1HRだったらしい。

 私のサポートもあってか、雄大の熱は、37.6℃まで下がってきた。あまりにも熱があって、病院にすら行けていない。今日下がらなかったら病院に行こうかと思ったけど、少し下がったのでこのまま自宅療養を続けることにした。

 雄大は、雄大で昨日の試合で私が応援に行けなかったことを申し訳なく思ってるらしい。たしかに行けなかったのは残念だし悲しいけど、雄大の体調の方が心配だった。蒼大も雄大の近くにいてくれて安心しただろうしこれでよかったと勝手に思っていた。

 私たち家族の本音は、もう誰も欠けてほしくないという想いだろう。お母さんの死はそれくらい私たちにとって大きかった。容態が悪くなったのも急だったし、お別れすらまともに言えなかった。そんか経験をしたら、こらからのことはなかなか考えられなかった。

 そんな経験をした私たちにとって、些細なことから崩れてしまうことを最も恐れていた。お母さんがなくなってから、お父さんの体調不良や蒼大の足首のケガなどいろんなことが起きた。偶然にも、私は大丈夫だったけど、みんなのことがとても心配だった。

 そんなことを考えていると、雄大に食べさす、おにぎりが完成したのだった。今日は、昨日より声が出ているようだったし、早ければ明日から完全回復するじゃないかと勝手に期待をしていた。

 蒼大は、今日も練習に行っていた。いよいよ明日は、準決勝が待ち構えていた。明日は、道和中学校との戦いらしい。道和といえば、甲子園にも何度も出場する名門校。そんな学校の中学部だから野球も強い。昨年度は、全国大会にも出場していたくらいだった。明日こそ、応援に行けることを楽しみにしていた?

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