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5月2日 就職

 昨日話していた、颯希と真波が近くにいるのは変な気分だった。相変わらず、二人とも惚れ惚れするくらい、可愛い。特に、真波は所作の一つ一つが綺麗だ。


 真波「七海は、どうするの?」

 私 「うーん、働くよ」

 真波「ホントにそれでいいの?」


 珍しく、真波は、私の就職に反対の様子だった。


 私 「まぁね、、、」


 私は、答えるのを避けた。


 真波「颯希も何か言ってあげなよ」

 颯希「‥‥‥」


 さっきまで明るかった颯希だったが、今は、その明るさはなかった。


 真波「あーあ。颯希が口開かないじゃん」

 私 「知らないよ、そんなの」

 真波「颯希どうなの?」


 斜め前にいた颯希は、前のめりになって答えた。


 颯希「最後は、七海が決めることだよ。真波」


 珍しく、私に突っ込んでくることはなかった。嬉しい様な悲しい様な、なんとも言えない気持ちだった。

 もともと、私たちが仲良くなったのも全員が自分の芯をもっていたからだと思っていた。誰かに合わせたり、自分を出さなくなったら、私たちの関係性は崩れるのかもしれないなと思った。

 真波は、どんなことをやらしても常に平均以上のパフォーマンスができる。優しくて可愛いし、気配りもできる。でも、それだけではない。彼女の最もスゴイところは、リーダーシップ力だ。常に周りの人を巻き込み、クラスや部活動でまとめてくれる。しかし、それには、継続した努力があったからだろう。周りは、センスとかで片付けてしまうけど、近くにいる私や颯希からしたら、努力のわりに結果が出ていないと思うくらいだ。

 一方の颯希は、他とは比べものにならない結果を出し、私たちと差をつける。できないところは素直に認め、他者からのアドバイスに耳を傾けられる純粋な子だ。颯希の最もスゴイところは、コミュ力だ。知らない人や性格が悪い子にも、自分から話しかける。彼女から、誰かの悪口を聞いたことなんてない。

 だが、このコミュ力は、最初からあったわけではない。真波と同じように血のにじむ努力があった。最初は、友だちとすれ違うこともたくさんあって、みんなから嫌われていたとか。それでも、負けじと話しかけたから今の颯希があるらしい。

 こんな二人と比べて自分は、大丈夫なのだろうか?自分の決断がこれでいいのか迷ってしまう。今までだったら、誰かに意見を言われても普通に跳ね返してたものがいつの間にかなくなっていることに気がついた瞬間だった。

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