4月29日 篠木蒼大
朝早くから、私は、台所に立っていた。ご飯に梅干しをつめ、半分ほどが完成していた。これから、おかずを詰め込む作業を始めようとしていた。蒼大と雄大の弁当だけは、いつもちゃんとしようとしていた。
蒼大は、昨日、ずっとバットを振っていたみたいだ。私は、蒼大より早く寝たが、家に戻ってくるのが遅かったのはわかっていた。眠たい目をこすりながら見ると、時計は24時をさしていた。
あんな頑張っている弟を応援しないわけないはいかなかった。でも、今日からの練習や試合に体力がもつのか心配になっていた。そんなことを考えていると、蒼大が起きてきた。
私 「おはよう」
蒼大「おはよ」
眠たい目をこすっていた。
私 「何食べる?」
蒼大「うーん、いつものでいいよ」
階段から降りてきた蒼大は、そのままテーブルに座った。
私 「今日、試合あるの?」
蒼大「うん。取手中学校と」
今日は、合宿1日目。どうやら、練習試合も組まれているらしい。
私 「そうなんだ。今、何番打ってるの?」
蒼大「3番か4番じゃないの」
私 「すごいじゃない?」
蒼大「そうかな、、、」
蒼大にとって、クリーンナップで試合に出ることはたいしたことないらしい。どことなく、いつもより機嫌がよくない様だった。中学3年生なんて、こんなもんでしょ。私は、切り替えて、二人の弁当作りを再開した。
蒼大「姉ちゃん、今日、来るの?」
私 「少しだけね」
蒼大「別に、来なくてもいいのに」
どういうことだろう?
私 「なんで、そんなこと言うのよ。少しだけだから、いいでしょ」
蒼大「勉強とか遊びに行ったらいいのに」
私 「気にしなくてもいいよ。少しだけだから」
まさか、私の心配してくれるなんて。蒼大も大人になったな。自分の中で感慨深い場面となった。
蒼大「雄大は?」
私 「まだ、寝てんじゃないの?」
蒼大「余裕だな」
私 「どうだろうね、、、。雄大って野球上手いの?」
雄大は、蒼大ほど野球は上手くないはずだ。
蒼大「うーん。普通かな。上手いわけでも下手なわけでもないって感じ」
私 「そうなんだ。1年の試合は、出てるの?」
作っていた卵焼きがいい具合に焼けてきた。
蒼大「この前は、6番キャッチャーで出てたよ」
私 「すごいじゃん」
ちょうど、卵焼きが焼きあがった。今日の2人が少しでも、頑張ってくれたらな、、、。そんな思いをこめながら、弁当の中につめこんだ。




