4月22日 若林宏太
今日は、昼休みに諏訪と話をしていた。昨日も屋上におり、今日も行くとバレてしまうことに恐れていた。
諏訪「七海ー」
私 「どうした?」
諏訪「今日、部活行くの?」
私のカバンを見ながら質問してきた。
私 「うん。最近行けてないから、顔出そうかな」
諏訪「もうー」
諏訪は、ほっぺを膨らませた。
私 「なんかあった?」
諏訪「今日、カラオケ行こうと思ってさ」
部活に入っていない諏訪は、暇を持て余していた。
私 「いいなぁ。全然いってないや」
諏訪「行こう、終わってから」
私 「部活やから。また、今度誘ってよ」
諏訪「そっかぁ」
諏訪は、同じ中学校で、私と同じ陸上部だった。
私 「うん、ごめんね」
諏訪「いいよ。部活、楽しい?」
私 「んー、普通かな」
諏訪「普通だったら、カラオケ行こ」
私 「じゃあ、普通じゃない」
二人とも笑ってしまった。
諏訪「膝は、どうなの?」
私 「まぁ、ボチボチかな」
私の膝を気にしてくれていた。
諏訪「なんで、マネージャーしたの?七海だったら、部活入らなくてもよかったんじゃないの?」
私 「うーん。どうだろうね」
諏訪「なになに?」
私 「特に意味ないよ。今さら、他のスポーツできないし。陸上部のマネージャーくらいしかななかったんだよ」
"もう走れない"。当時の状況を思い出してしまっていた。
諏訪「絶対、嘘じゃん」
私 「嘘じゃないよー」
諏訪「じゃあ、一押しの選手は?」
私 「うーん、いない。ハハ」
陸上部に誰がいるか頭の中で考えていた。
諏訪「ハハハ。おらんのかい」
私 「いないよ、だって、そんな強豪校じゃないしね」
諏訪「でも、"聖淮戦"って陸上部も出るんじゃないの?」
"聖淮戦"とは、聖徳高校と淮南高校の各部活動同士で勝負することだ。
私 「でるよ」
諏訪「絶対負けるじゃん」
私 「それは、否定できない」
諏訪「誰か、凄い人おらんの?」
私 「凄いかはわからんけど、若林くんとかは、まだ可能性あるかな」
諏訪「確か、6組の子だよね?」
私 「うん」
諏訪「どんな子なの?」
若林宏太。3年6組。おかっぱヘアーが特徴だ。
私 「どんな子。うーん。なんか、不思議な子かな」
諏訪「そういう感じなんだ」
私 「そうなの。私な、ああいうタイプの子には出会ったことがないよ」
この後も、私たちの会話は続いた。




