4月21日 超個性派集団
新しいクラスになって、20日が経った。私は、少しずつクラスに慣れてきたころだ。このクラスは、野間、橘、西畑、諏訪たちが中心となって動いている。みんないい人たちだったが、昨年と比べるとどこか物足りなさを感じる自分がいた。
それは、当たり前で、昨年が異例のメンバーが集まり過ぎていたのだ。女子で言えば、颯希、真波、室屋、寺崎、林、栞、祐奈。男子だと、沢田、辰巳、宝来、橘、橋本、柏木。超個性派集団だ。周りからは、颯希や真波がフューチャーされがちだが、クラス委員長は、室屋だし、栞や祐奈の方がクラスで目立っていた。今でこそ、伝説のクラスなんて言われているが、それだけ個人の能力が凄かったというだけだ。
私は、あの頃のことを考えながら、今日も授業を受けていた。歴史のプリントの穴埋めをしていると、先生がGW明けにテストをすることを告げた。月末には、GWに突入のか。今年のGWは、どんな一週間になるのだろうか?確か、前半は、陸上部の練習があった気がする。私は、陸上部のマネージャーをしているが、3年生になってから、あまりいけていない。マネージャーは、空いている日だけ来てくれればというルールになっていた。後半には、彼氏である傑と旅行に行く。そして、時間があれば、颯希と真波とご飯に行く予定になっていた。
ただ、最近は、いつまででも、颯希と真波に頼ってはいけないと感じていた。二人は凄い。しかし、もう近くにはいない。それぞれ、別のクラスで、別の道を進んでいる。私も、二人に負けないくらい自分の道を歩んでいかないと。その道の一つが就職だった。
"トン、トン"。後ろから肩を叩かれていた。振り返ると、険しい表情をしていた白州くんがいた。
私 「どうしたの?」
白州「これ」
白州くんの手には、私の教科書があった。
私 「あっ」
白州「さっき、落としてたぞ」
私 「ごめんね」
白州「おお」
私に教科書を渡すと、白州くんは、シャーペンで紙のプリントに穴を空けていた。白州くんのお母さんは、私が小学生の頃、私の担任の先生だった時期があった。小学校低学年だったので、あまり覚えていないが、とても優しい先生だった。私は、何度も褒められ、いつも先生の近くにいた。そんな先生の息子が白州くんだとは、少し驚きだ。彼と出会ったのは、高校2年生の頃、同じ小学校の栞が教えてくれたのがきっかけだ。




