魔術師と助手のたたかいは、きっとこれから!
なろうラジオ大賞3への参加作品です。ゆるゆるとお読みくださいませ。キーワードは助手です。
塔に住む魔術師は、助手に魔法の手ほどきを……
全くしてはいなかった。
「助手よ、早く掃除しろ!」
助手は転生者である。
彼が高校三年生の冬、センター試験中のことだ。
「やったぜ!! 数学満点!!」
とガッツポーズを取った瞬間、心停止した。
そしてこの世界に来た。
「そりゃあ、可哀そうだったな」
身の上を助手が語った時に、魔術師は言った。
「でしょう? 受験の勝ち組になれるはずだったんですよ、俺」
魔術師は頭を振る。
「いやいや、可哀そうなのは試験監督だ。救急車呼んだり、あちこちに頭下げたりしたろうし、始末書書いたり、減給されたりもしたぞ。なんと可哀そうな!」
助手は唇を突き出した。
「だいたい、俺を召喚したの、アンタでしょ」
「師匠と呼べ」
「じゃあ師匠。塔の掃除してくれる助手が欲しいの~とかで、ヘンな呪文唱えたんでしょ!」
師匠と呼ばれた魔術師は口角を引き上げ告げる。
「俺はゴブリンあたりを一体召喚したはずだ。ということは……」
師匠はビシッと助手を指さす。
「お前はゴブリン並みの知能だったのだ!」
助手の脳内に、除夜の鐘が鳴った。
少し涙目になりながら、助手は訴えた。
「なんかね、イメージしてた異世界転生と大幅に違う。チートスキル持たせてもらって、エロカワイイ女に囲まれて、魔物倒す、とかじゃないの? ふつう」
魔術師は鼻で笑った。
「お前には、掃除のスキルがあるだろう。窓から下を見てみろ」
助手は塔の窓から首を出す。
かつて助手が暮らしていた世界だと、タワマンくらいの高さがある塔だ。
その天辺近くからずっと下を見ると、わらわらと蠢く大量の魔物がいた。
「どうだ? オークやら、ワーウルフやら、オスメスどっちもたむろってるだろ? 好きに選んでいいぞ」
助手は右手を顔の前で左右に動かす。
「ムリムリ無理!」
魔術師は、今度は普通の笑顔で助手に言う。
「まあそう落ち込むな。俺の魔力が回復したら、お前にも魔法、使えるようにしてやるから」
「へえへえ」
既に諦観している助手は、力なく答える。
魔術師は、ある大国から追放された当代一の魔力の持ち主、らしい(あくまで本人談)
追放される時に、魔力の大半を奪われたという(あくまで本人談)
転生者として助手として、師匠である魔術師の命令に従って、彼は生き抜いていくしかない。
「ほら、よくあるだろ? 『俺たちの闘いはこれからだ!』ってヤツ」
キョトンとする助手。
助手は受験勉強漬けで、マンガもアニメも殆ど知らなかったのである。
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