祝福の儀が来た、ライア様ありがとうございます!
私は今、地下の儀式用の薄暗い大広間に集められている
明かりは蝋燭の火が僅かにあるだけ
周りにはクロード様を始め学園の今年入学した生徒が全員綺麗に整列していた
そして目の前には大きな大木
この国の神様の聖遺物・セフィーロの大樹があった
聖遺物とは元々、神様がこの世界に残した神様の持ち物で
強大な力が宿っているとされ、素質のある者が祈りを捧げれば神の声が聞こえるとされている
初めて見るけけどと通常の木の10倍はあろうかと背丈がある
屋久島の大杉みたいだ
先頭列の教師陣が話し始める
「今から、祝福の儀を執り行う」
「一番から前へ」
そして、私達学園の生徒が何故ここには集められたかというと・・・
聖遺物セフィーロには、大樹に触れて神様ライア様に認められ声が聞こえる者には
魔法とは違う超常的な力を与える力があるらしい
実際にこの国で聖女・聖人と呼ばれてる人には
いずれもセフィーロの大樹に触れ神様に声を聞き認められている
この国で最高の栄誉とされ
力を授かることを神様からの祝福と呼ばれ
故に祝福の儀と呼ばれている
この国クロノ神聖国、この学園に入学する者は将来この国を守る騎士や官僚となる者を育成する学園だ
この国を純粋に役立ち守りたいもの
貴族なんかは家に拍を付けるために行うもの
聖なる場所であるここは普段は許可なく立ち入りを禁止されているため
色々な事情でこの日を待ち望んでいるものが多い一大行事である
ライア様と言う神様を大切にするこの国この学園の伝統で
言わば入学式みたいなものだった
儀式なので、服装は制服で特別に武器を見つけることが良しとされている
既に何人かがセフィーロの前で祈りを捧げ終えている
次はクロード様の番だ
クロードが手を組んで片膝立ちで目を瞑って祈りを捧げる
「ライア様、お初にお目にかかります・・・俺にどうか皆を助ける力を」
クロードの頭に神ライアの声が直接聞こえた
男性の透明みたいに透き通るような声だった
「クロード・ジャン・・・あなたに力を」
「これがライア様の声か・・・?」
一瞬戸惑ったクロードだったが
すぐに祈りを続ける
「はい、俺は・・・皆を守る剣でいたい」
「良いでしょう、良き力です」
ライアがそう言った直後
クロードの体の周りに、白色の蛍のような丸い光が多数浮かび上がり
彼の体に入っていく
そして・・・
クロードは懐に帯刀してある剣を見て驚いた
魔法を付与してもいないのに光っていたのだ
彼は剣を引き抜き
掲げた
眩い光が、儀式の場を照らす
祝福の儀を終えたクロードが剣を鞘に戻し列へと戻っていく
ライア様に認められたことで周りもざわついていた
「あいつ、ライア様に認められたぞ」
「凄いかっこいい・・・」
「くそ・・・平民の癖に」
クロード様がライアに認められたことによる周りの反応は驚き・羨望・嫉妬と
三者三葉だった
そして次は、この国の第二王子ティガ様だ
あの人は神様の前に立っているも同義の場所で
不遜にもポケットに両手を入れて突っ立っていた
原作漫画で知っていたけど・・・
改めてみると俺様王子キャラっぷりが凄いなー
まぁ無理もないか、この国を最初に作ったのはティガの先々代クロノ家なんだから
「セフィーロ・・・ライアこの国の王子である俺様に力を寄越せ」
ティガがそう呟く
その直後に先程と同様に男性の声が脳内に直接声が届く
「ティガ・クロノ・・・この力を誰かの愛する者のために使いなさい」
声はそれだけ伝えると
ティガの周りに黒色の光球と白色の光球が均等に周りに無数に出現
彼の体に入っていく
「・・・ふん」
「ま、俺様はこんなもの無くても強いけどな」
彼の右手の平には、白色の炎
片方の左手には、黒色の炎
それが両手に出現していた
彼の放つその魔力の圧力に周りは何も言わず、言葉を発することできず固唾を飲んで見守ることしかできなかった
セフィーロに興味を失くしたティガは自分が従者に特例で用意させた豪華な椅子へと戻って座った
ティガ様凄いな・・・
漫画で読んだけど
祝福には祝福の強弱があり
同じ神様の声を聞いたものでも祝福が強ければより強い力を授かることができる
普通、祝福は一人につき一種類の力だけど
二つの力が発現するのは珍しい
彼は祝福を二種類の授かったということだった
そして、私の番が来た
私は、セフィーロの大樹の前で膝を付き両手を握り祈りを捧げる
「・・・私の聞こえますか?」
「夢で見た声と同じだ・・・」
「私はライアです・・・あなたをこの世界に転生させた者」
声が聞こえた
これは
男の人の声、私が異世界に転生する前に聞いていた見ていた
綺麗な男の人の声に似てる
13年前の事なのに不思議とよく覚えている、脳裏に焼きついている
「あなたははこの世界は好きですか」
ライアと名乗る神様は尋ねる
この世界に来て私はどうだったかを
「はい・・・だって好きな人が・・・いるから・・・・ありがとうございます」
私はクロード様を頭に思い浮かべ、顔が自然に笑顔になってしまった
呟くようにライア様にお礼を言った
ライア様もそれを聞いて嬉しそうな声だった
「それはよかった・・・しかり」
「マモリ・ミズク・・・貴女の望む力・・・いえ未来とは何ですか?」
ライア様は、未来を聞いてきた
力ではなく、この先の未来
「望む・・・もの?俺の望む・・・未来」
「ライア様・・・俺は・・・私は・・・」
私は、少し考える
クロード様と過ごす時間今だけでも十分幸せだけど・・・
その先に自分の望む未来はあるのだろうか?
この先も、クロード様や皆で幸せな未来を
・・・いやこない
私は知っている
原作通りの展開なら
クロード様はこの後、魔族の王を倒すまでボロボロになるまで戦わなければいけない
好きな人もいない家族もいないボロボロの彼は本当にハッピーエンドなんだろうか
そんな世界は・・・未来は
私は望まない
その答えは
「守る力を、大切な者を守りたいクロード君を皆を守る力」
「大切な人達が傷つかなくてもいい、本当の幸せの未来を最高のハッピーエンドの未来を」
私はそう、ライア様に思いを伝えた
私はバカだからこんな言葉じゃ全然伝わらないのは分かっている
でも、これが自分が伝えれる精一杯だ
私の言葉を聞いたライア様は満足そうな声で
「いいでしょう、マモリに相応しいこの力・・・使いこなしてみせなさい」
そう告げた
その直後、私の周りに蛍の光のような白色の白い光の球が多数浮かぶ
それが私の体に入っていく
そして、自分の拳が数秒白く光った
祝福の儀を終えて、私は列に戻っていく
なんか何が起こったんだろう
そうやって頭の中の整理が追いつかない
「すごいな、マモリも神様に認められたんだな」
頭の整理をつかないまま、クロード君が祝福の言葉をくれた
たぶん先ほどの起こったことがまだ実感が湧かず
呆けた顔してたみたい
私も言葉を返す
「え?・・・そっか」
自分がクロード君と一緒に神様に認められたこと
対等な関係、そういう風になれた気がした
「クロード君と一緒だね」
私は、彼に対し笑顔で返す
「やったな」
私とクロード君、お互いに笑顔で見つめ合う
心がポカポカ温かい
「ふん・・・」
ティガ・クロノはそんな二人のやり取りを見て、不機嫌そうに鼻をならしていた
*ここから予告編です
本編ではありません
それから一週間
「きゃー、ティガ様にアリー様にそれにクロード様よ」
「今こちらの方を見てほほ笑んでくださったわ」
元々、入学試験でも話題になってのに
神様に認められた事でその話題性はさらに拍車をかけ
三人共イケメンなことから、学園の女子の話題は三人の話題で持ちきりだった
だけど・・・
話題になればそれだけ妬みや嫉妬も少なくなく・・・
それにお世辞にも普通の顔の私(俺)が三人の間に混ざっていることがおつらい
そこに現れたのが、傲慢で高飛車な貴族スカーレット兄妹
「私は貴族令嬢ブリトリア・スカーレット」
「そして俺が最高の妹の兄、ケビン・・・」
「あなたに決闘を申し込むわ」
「ふふ面白くなってきたです、ねクリス君」
さらに更衣室での出来事
私の正体がバレそうにー!?
「マモリから離れろ」
「クロード・ジャン・・・俺様と決闘しろ」
「はいそこまで」
「アリーさん?」
「男同士で遊ぼうぜ」
「あだ名はアリっちとマリモンでーいい?」
クロード様とティガ様の喧嘩勃発
そしてまさかのアリーさんとのデート!?
そして始まる、実戦教育
「お前たち、次の授業だけど・・・」
「社会見学だ、見に行くぞクロノ神聖国の力を・・・リンドブルムから街を奪還するとこを」