海月姫(わたし)は政略結婚の道具
水の国・ポチィア
薄暗い部屋で鉄の物体をいじくってる少女が一人
クラゲの触手のような整ってない長い髪で深海のような深い青の色、水色の瞳、小さめの背が特徴
私の名前はクゥ・アクァ
私は水の国と呼ばれる国の王様と王女様から生まれた5女、五番目の女の子供だ
もっとも男も産まれてるから、実際の順番は8番目くらいだろう
ここ、水の国はその名の通り
国土の大半は水の中にある島国だ
国土は平らな島があり
その下へずっと円錐場に水の腐食に強い金属と水防護魔法できた居住空間が広がってる構造だ
私はその最下層のほぼ先端部分に住んでいる
この国が何故、海の下へ下へと居住空間を伸ばしているかというと
この島の地上部分はそのほとんどが塩を取り出すための塩田とされているからだ
水の国ポチィアは昔から水と石炭を動力とした蒸気機関と呼ばれる機械文明が発達した国で
その国力は大国に勝とも劣らないと言われてる
蒸気機関が出来たのは、周りに海に囲まれる島国だからこそ平らな地形のこの島の国土で昔から真水の確保には苦労していた
そこで海水を真水を取り出そうと考えられたのが熱で海水を蒸留して塩分を抜き集めた水蒸気を真水に変える方法だ
その研究のさらなる有効活用法として偶然蒸気機関が開発された
この国は、その国土の特性故機械や文明に頼らざるを得ない
で、私は何をしてるかと言うと
絶賛引きこもり中だ
何故かって?
私は海月姫と呼ばれるてる出来損ないだ
優秀な姉達と比べ私は泣き虫で勉強も運動もてんでダメ
そんな私の役目と言えば、政略結婚の道具として扱われるくらいだろう
ま、そんな私でも得意なことはあるわけど・・・
そこへ、扉をノックして
「姉様食事を持って来ました、こんな暗い部屋でまた本なんて読んで研究なんてしてるんですか?」
「おぉジーク可愛い我が弟よ・・・どうした?」
私の弟で4男のジークゥ・アクァだ
この国名前の発音は文化伝統的に発音しにくいのが常なので普段は皆ジークやクーと簡略化して私たちは名前を呼び合っている
ジークはいつも生活力が無くてご飯を食べることやお風呂に入ることを忘れてしまう私の世話をしてくれる
私の味方と言えるのはジークと昔からお世話してくれる侍女の数名だ
自分で言うのはなんだが、良く出来た弟だよまったくうん
「というか・・・服を来てください」
ジークに指摘されて、私は気づく
そういえば、部屋着をそこら辺に脱ぎちらし
下の下着しか履いてなかった
もしかしたら上はジークに見えてるかも
ま、いっか
「えーいいじゃん別に、こっちの方が楽だし」
「仮にも王族なんですから、自室だろうとわきまえてよ・・・」
ジークは呆れて、顔を赤くしてそっぽを向く
「なんだ姉の体を見て劣情しちゃったのか弟よ~、えいえい」
私はジークへ体を密着していく
「実の弟で遊ばないでください・・・姉様の面倒なんてもうお世話なんてしないですからね」
私を引き離し顔を手で抑えるジーク
ほっぺが圧縮され口がタコにになる
私はジークをいつもからかって遊ぶ
こういうやり取り日常のことだったりする
「あはは、私と結婚する不細工ビール腹は裸足で逃げ出すな」
私はまだ決まってもいない政略結婚の相手を軽く笑った時だった
ジークが複雑そうな顔しているけどまあいいや
「あ、ジラちゃんだ」
窓の外を見ると、クジラがいた
ここは最下層だけあって、窓から色々な海洋生物が顔を出してくれる
私はいつも来る赤ちゃんクジラにジラちゃんと名付けていた
ジラちゃんは窓ガラスをコツコツ頭の先端で叩いていた
これがジラちゃんなりの朝の挨拶なのだ
私は、窓ガラスを二回こんこん叩いて挨拶を返す
「姉様・・・そろそろ時間だよ」
「あ、そういえば今日は家族全員で集まる日だった・・・めんどくさいなぁ」
家族全員で集まる日と言えば聞こえはいいが
実態は政治がどうとか経済がどうとか退屈な懐疑が続く貴族として体裁を整えるための食事だ
行きたくはないが、ジークに迷惑がかかるのはよくない
「お嬢様、綺麗ですよ・・・」
「ありがとう・・・私は行くからまた後で話しましょ」
「ジラちゃんもまた後で合おうね」
私は、服を来て最低限のお化粧を侍女に手伝ってもらい準備を済ませ家族会議の場へと向かった
しばらくすると、会場についた
部屋は建物から離れた場所に作られ連絡通路を抜けると透明なガラスに包まれ180度海の中が見える造りになってる
とてつもなく広い部屋で、長い大きなテーブル
二名分の席が開いている、私達以外は既に会場に着いてたらしい
席の一番奥に座っているのはこの国の国王と王女
水色の髪で青年と間違える程若く見える外見で三股の槍を持つポセイドォ・アクァ国王
私の父と
赤髪でつぶらな瞳をした幼き少女に見えるリエルゥ・アクァ女王だ
私の母だ
というかこの実際、若くして母はこの国の女王になった
しかも14歳でだ
母は昔は人魚族という水中が住処の水棲亜人種だったんだけど
何でも父が一目惚れしたので、人魚族を強制的に支配下に置き妻に迎え入れた
「遅かったじゃない、海月」
「・・・遅くなりましたお姉さま方、お兄様達もお揃いで」
私に開口一番で話しかけたのは、薄い青色で長髪の目筒が鋭い高身長の女性が
彼女は私の姉に当たる人物この国の第一王女オーシァ・アクァだ
容姿端麗・成績優秀、強大な魔力を持ち既存の機械についても扱いは超一流、一族の中でも秀でて優秀な人間だ
私は正直言ってこの姉と父が一番苦手だ
姉は何を考えているか分からないし、私を含め他人を常に見下している
父は、母に優しく話しかけてるとこなど見たこともないから
「私がおらずとも初めても問題なかったのではないでしょうか」
「この会食は、遠い領地の分家や親戚も招いているのだ・・・お前だけの問題ではないクゥよ」
「・・・クー、早く席に」
お母様に諭され、私とジークは席につく
「わかりました、・・・品位に欠く無礼な行動どうかをお許しくださいお父様お母様」
食事をしながら、政治だの経済だの話しと言っ家族会議が続いていく
いつも・・・いつもそうだ
せかっくの美味しい食事が台無しだ、堅苦しくて味覚がどっかいっちゃうかと思えるほど
・・・母はなんとも思わないのだろうか?
私はふと母の方を見る
しかし、当の母は感情が無いかのように何もせずお人形みたいにスープを口に運んでいた
そんな時だった
父が私に切り出してきた
「時にクゥ・・・」
「何でしょう」
「お前には将来同盟国クロノ神聖国との同盟を強固にするための婚約忘れていないだろうな」
その話しはもう何十回聞かされた
隣国で同盟国であるクロノ神聖国の貴族との縁談話
成立すれば過去、クロノ神聖国と仲が悪かったこの国の関系改善が期待される
政治や経済とか軍事とか苦手な私の唯一の役目
要するに私はどこまでいっても政治の道具なのよね
そしてその瞬間から、母はスープを飲むのをやめスプーンを置き下を向いて何もしなくなった
「ようやく決まったのですね」
「その通りだ、だからお前はクロノ神聖国へ行け」
行ってくれでも行って欲しいでもなく行け・・・か
実の子供にも感情を動かさない、常に国のことを考えてる立派な父だよまったく
そりゃあ私、行くの嫌だよ
でもそれでジークやお世話になった人達に迷惑がかかるし、この国の人々や自然は好きだ
「・・・ならせめて、この国の人々やお世話になった人へ挨拶をしてからで構いませんよね」
「私が可愛がってるクジラやタコのお別れも・・・・」
私がそう父に願い出ている時だった
横からオーシャ姉さまが口をだしていた
「お父様は国王陛下よ・・・控えなさい」
「だいたい・・・半人前のお前をお父様は役立ててくれるのよ感謝してもいくらいだわ」
オーシャ姉さまは、私をその鋭い目で見下しながら手に持ってた扇子を広げ口元を隠す
きっとその扇子の裏側では自分がそういう役目をしなくて安心してほくそ笑んでるんだろう
その時だった、ずっと口を閉ざして下を向いていた母が父の腕を掴み
「ポセイド・・・クーのお願いくらい別にいいでしょ」
弱弱しくそう言った
「リエルゥ・・・いいだろ、許可する」
母の言葉を聞いた父は数秒考えた後、私にお別れを言う時間を与えてくれた
「オーシャも口がすぎるぞ」
「・・・なっ・・・ふん」
オーシャ姉さまは父に注意されたのが予想外だったらしく、顔を歪ませ不機嫌そうにそっぽを向く
「ん、む・・・?」
「そこにいるのは誰だ・・・王に謁見したければ敬意を払え」
父のその一言に、会場の全員の空気が変わる
もちろん、私もだ
これは・・・間違いない
隣のジークと無言で席を立ち上がる
その瞬間、四方全てから私達全員へ針の様な物で攻撃された
私たちは、水の魔法で結界を入り腕のように形勢された水流が針を全て叩き落す
私たちはこういった会議に侍女達や執事と言った従者を連れていくとはしない
なぜなら・・・
巻き込んでしまうからだ
「ジーク・・・敵がいる」
「うん・・・暗殺者だね」
柱の影に数人の黒い影、彼等はローブを羽織り顔は分からない
現れた、それは一瞬で私達を取り囲む
「これはこれは・・・見つかってしまいましね」
その中でもリーダ格と思わしき者が名乗り出る
彼はローブをしておらず白色の目が口が大きく湾曲した絵柄の笑みを浮かべたような仮面を付けていて、黒い新服を着ている
「まずは名を名乗れ不届き者め」
父は、狼狽えることなく王として堂々と佇み、名を問う
「これは失敬、お初にお目にかかります・・・私は平和の使者フォルスでございます」
「ふん、クロノ聖堂教の者か」
フォルスと名乗る男は仰々しく頭を下げる
そして、顔を上げ私達にギラギラついた殺意を向けてくる
父はクロノ聖堂教の者と言ったが恐らくそうだろう
同盟国で隣国のクロノ神聖国にはクロノ聖堂教というライアとい神を信奉してる集団があり
彼はその国でほぼ全国民と言っていいほどの多数の信者を抱え、そのクロノ神聖国で絶大な権力と存在感がある
「この度は、縁談がまとまったようでおめでとうございます国王陛下・・・それにクゥ・アクァ」
「・・・え?」
今、あのフォルスとか言う男、私の方を見たような・・・
「これは私からのプレゼント・・・あなたたちは死んでいまただきます」
「神のお告げです・・・あなたたちは機械なんてものを作りすぎた」
「文明の発展は神の許可がなければいけません・・・それまで待つのです」
そう男は手を広げ仰々しく言った
「何かと思えばくだらん・・・その間に魔族やリンドブルムが攻めてくるぞ」
それを父は一蹴り
それもそうか、私達がわざわざ同盟国の宗教の教義に反して機械を作ってるのは
近くに魔族や侵略国家の影があるからだ
それに、同盟国クロノ神聖国だって味方というわけでないし
「神の加護があれば十分です」
「くどい・・・素直に従わない俺たちが脅威だと言ったらどうだ」
話をする気が無いように一方的に喋るフォルスにしびれを切らした父は、持っていた槍をフォルスへ向ける
対し、フォルスはまだくだらない弁舌を続ける
「ええそうです・・・ではさらなるクロノ神聖国とこの国のさらなる発展を願って」
フォルスは広げた手の平を握り
「死んでいただきます」
笑顔で高らかにで宣言する
同時に父の持つ槍から電撃の魔法が放たれフォルスを貫く
撃たれたフォルスは倒れるが
彼は死んでいなった
性格には、彼の正体は木で出来た人形で本人は別のところから操っていたのろう
さらに、周りのローブの人間たちが襲い掛かってきた
「息子たちよ、殺れ(ころせ)」
父の言葉を合図に
私達兄弟たちは暗殺者に反撃を始める
「私の力を全員に見せてあげますわ」
オーシャ姉さまは、自分の周りに水の龍を出現させ
それをぶつけ次々と暗殺者の体を切り裂いていく
「分かりやすくていい」
私も、数人囲まれるが問題ない
この程度の暗殺者、もう何人も葬ってきた
私は銃を取り出す、単発式の銃がやっと作れるこの世界では珍しい唯一私だけが作れる6連装・回転式拳銃だ
撃鉄を降ろし引き金を引く、火薬の爆発と共に鉛の銃弾が飛んで行く
一人目に2発、二人目に最後の一発を撃つ、当たるが
一発だけでは仕留めれてない
試作品だから仕方ない
私はもう一つの銃を取り出す
その銃からは水が発射される
発射された水は、強烈な水圧で暗殺者の額を貫いた
これも私が開発した物で、名を水銛銃という
一族の中でも魔力が少なく劣ってる私が、効率的に相手を殺す為に作った物
魔力と水さえあれば撃てるので汎用性が高い
「そしてこれが、切り札!」
私は、魔力で会場の連絡通路に待機させてたそれを呼ぶ
3メートルある巨大な寸胴な人型の金属の塊が蒸気を出しながら飛んでくる
その全身に水が流れてるチューブが繋がれてる
私はそれに飛び乗り、頭頂部の魔法陣へ魔力を流し込む
金属の巨人が動く、腕で一撃振り払う
赤い血液が頬に飛び散るが、気にしない
その一撃で、暗殺者が数名吹き飛んで行く
腕を振るう動作の終わりに全身から蒸気が吹き出る
凄まじい威力を持つこれは、私の自信作
「8式魔導外装・タコハチ」
タコみたいなつるつる頭で8番目に出来たから
この金属の巨人は、蒸気機関で動かしてる
しかし通常、蒸気機関は熱した石炭が必要だが
この世界では石炭は貴重な鉱物で存在量が少ない
だから水を蓄えたタンクに熱魔法を加えて動かしている
まだまだ実験段階の兵器で欠点も多い
終わると私はすぐにジークの方へ駆け寄った
「ジーク大丈夫?怪我してない?」
私はジークの方を見ると、そこももう終わっていた
「姉さんこそ、姉さん傷つける奴がいるならそいつは俺が殺してます」
水圧で切る魔法で形勢された水の剣を持って、血だらけで無感情で佇むジークがいた
私の姿を見るとすぐ子犬の様に近づいて私の心配ばかりしてくくるが
「何人かは逃げたか兵士に追わせるよう伝えろ」
数人ほど逃亡したらしく、現在この国の兵士が追っている
「こいつら・・・魔族と人間のハーフ、使い捨て前提か」
「人権が無い「人間」・・・証拠はないし向こうはシラを切るだろうな」
父は怪訝な顔でその死体たちを見る
あいつら人間と敵対してる種族、魔族を使うことで証拠を無かったことにするつもり・・・だろうね
部屋に戻ると、私が見たもの
窓のガラスの先にあるもの
それは怪我をして血を流してるジラちゃんだった
「お嬢様・・・見ては・・・」
「ジラちゃん!?」
「ひどい・・・だれがこんな・・・あいつらか」
理由はすぐ思いついた、きっとあの暗殺者達
逃亡途中、不幸にも偶然道を塞いでしまったのだろう
殺されなかったのも、ただ通りたかっただけだけだらどかすための最低限の行動だろう
私はしばらく考えこむ
こんなことが続けば、ジラちゃん達動物だけじゃないいずれジークや侍女達に危害が及ぶかも・・・
だから
「ジーク、私は行くよ」
「・・・え?」
「結婚相手が居る場所、同盟国クロノ神聖国へ」
私の友達を傷つけた、落とし前はつけさせてもらう
「クー、ごめんね・・・」
そして、そんな娘を思って名前を呟く母リエル・アクァ
この水の国は変わっていく
これはそのほんの最初の一滴