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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
6/111

6話 デ・ルー騎士団の様子

登場人物紹介


シグス :デ・ルー騎士団団長

オズマ :副団長

ガナベル:副団長

ベニー :1番隊隊長

マルクトー:2番隊隊長

ドット :3番隊隊長

タワー :4番隊隊長

サンシャ:5番隊隊長

メイヤー:6番隊隊長

デ・ルー騎士団本部、夜。


二人の歩哨の脇を走り抜け、開け放たれている入口を通り、メイヤーが本部内に駆け込んできた。

そこには夜警当番の男数人と、メイヤーと同じ寮から脱出した男が二人いた。

彼らがメイヤーの姿を認めて声を掛けた。

「メイヤー隊長、ご無事でしたか。」

「ああ、寮の窓から忍び出るのは得意だからな。それより、何人やられた。」

「詳しいことはまだですが、第三騎士寮の2階は全滅、では、ないかと。」

メイヤーの問いに答えた声は最後は聞き取りにくい程に小さかった。


「くそっ!なんで、骸骨剣士がこんな所に出たんだ!」

「骸骨剣士!?見張りが錯乱して暴れていると聞きましたが。」

「違うぞ!誰だ、そんな事を言った奴は!魔物だ!骸骨剣士が、少なくとも一体が、寮に侵入している。見張りのオルガと他の数人が、そいつに魔物堕ちさせられたんだ!急いで団長に知らせろ!おい、そこの!寮の連中を叩き起こして、全員に武装させろ!」


周囲にいた騎士たちに矢継ぎ早に指示を出し、自らも剣を手にしたメイヤーは第三騎士寮に戻るべく本部から駆け出す。

彼の後ろには6人の騎士が従っている。


だが、彼らが寮の入口に着いた時には、すでに骸骨剣士の姿は無く、庭に死体が並んで横たわっていた。

その中に、アルベルの死体があった。

そして、今夜の見張り当番のオルガ達6人の死体も並んで横たわっていた。



デ・ルー騎士団本部、早朝。


騎士団長シグスは執務机に座り、副団長オズマから報告を受けている。


「つまり、見張りの連中は死体となって操られていたのか。」

「そのようです。シグス団長。」

「で、その骸骨剣士は見つからんのか?」

「はっ。ドット隊長が北門が開いているのを発見しました。地面には血痕があり、扉番の姿が無い事から、ここから逃亡したものと思われます。」

「北門か。」

「はい。その先の森には北の墓所があります。」

「わかった。ルー伯爵に報告に行く。オズマ、付き合え。」

「はっ!」



デ・ルーの街、神殿。


「騎士様たちのご遺体はこちらに安置しております。ガナベル副団長。」

「ありがとう。ライファノン神官。」


騎士団のもう一人の副団長、ガナベル副団長は、床に敷かれた白布の上に寝かされた騎士たちを一人づつ、名前を呼びながら確認していった。

「アルベル。」

それは、彼の甥の顔だった。

そして、隣に横たわる男の顔。

「サイクス。」

騒動を起こした昨夜の見張り番の顔を見て、ガナベル副団長の体に力が漲る。


「彼も被害者です。ガナベル副団長。」

「ライファノン神官。」

ガナベル副団長は後ろに控えるライファノン神官を振り返り見た。


「なんでも、昨夜は骸骨剣士が目撃されたとか。ですが、骸骨剣士には死体を"歩く屍人"として操ることはできません。恐らく近くに"屍人操者"がいたのでしょう。」

「そうか。」


一言返すと、ガナベル副団長は騎士の確認に戻った。

ライファノン神官はその姿を見守った。


ガナベル副団長が去ると、入れ替わりに1番隊隊長ベニーと2番隊隊長マルクトーがライファノン神官を訪ねてきた。



北の墓所、入口部屋。

デ・ルー騎士団の騎士たちと共にライファノン神官の姿がある。


「骸骨剣士がこの中にいるのは間違いないな。見ろ。」

「木の葉か。濡れている?」

「そうだ。付着している土も湿っている。つまり、昨夜誰かが足にこれを着けたまま、この墓所に入ったって事だ。」

「さすが。読み通りだな、ベニー。」

「だが、どうするよ、ベニー。この中の通路は狭い。骸骨剣士と一対一(さし)でやる事になるぞ。」

「だから隊長6人が揃ってんだろ。タワー。」

「違うな、メイヤー。誰が先頭取るかって話だ。一番隊隊長には殿(しんがり)で指揮してもらわないとな。」


ベニー隊長が他の隊長達の顔を見回し注意を促す。


「潜るのは12番通路までだ、タワー。その先は空気が悪いし、古すぎて通路が潰れるぞ。2人一組、俺とマルクトー、ドットとタワー、サンシャとメイヤーだ。手前の18番通路から順に見ていく。12番通路を確認したら、戻りながら通路に聖水を使う。いいな。」

「りょーかい。」


「では、お前達はここでライファノン神官をお守りしろ。」

「了解です。ベニー隊長。」


6人の隊長達は地下の墓所へ続く階段を降りていく。

入口部屋にはライファノン神官と、彼を守る騎士8名が残った。


「御武運を。」

ライファノン神官が祈りの言葉をつぶやいた。


チュウ。

その祈りの言葉に答えるように鼠が鳴き、階段の下へと姿を消した。



ランプを手に、地下通路を進む。


"これだけ狭い通路だと、剣を振る時も気を付けなくてはならん。それに、左手にはランプを持っている。俺の盾は上に置いてきた。後ろにいるドットが盾を持っている。だからベニーは二人一組にしたんだ。状況としては不利だな。だからこそ、戦闘意欲は上がる。こういう状況だからこそ、日頃の訓練の成果が試されるのだ。"


4番隊隊長のタワーは逸る気持ちを抑えつつ、冷静に闇を見、気配を探り、慎重に通路を進んだ。



"不利な状況だ。暗く、狭く、脱出経路は1箇所しかない。相手の骸骨剣士の数も不明だし、ライファノン神官の言葉から屍人操者の存在も予想される。もしも、ここに安置されている亡骸が、全て起きてきたら。教会から渡された聖水は一人一瓶だ。これでは足りない。無茶な作戦だ。"


1番隊隊長ベニーはこの作戦に反対だった。

しかし、行かねばならなかった。

誇りある騎士団が襲われたままでは、その威信が揺らぐ。

それは、あってはならない事だ。


そして、彼らはこの危険な場所に部下を遣る事が出来なかった。

だから隊長6人が集まったのだ。


失敗は許されない。


■■■


地下通路の奥。


チュウ。

屍鼠が戻ってきた。


人間共が、この地下墓地への侵入を開始したのだ。

人数は6人。


これだけでも、16人で2時間掛けて鼠を捕えた甲斐があるという物だ。

「吸魂」「授魂」が使えるのは俺だけだ。

下僕が倒した相手を「吸魂」するには、なるべく早く実行しなくてはならない。

時間が経つと魂は"幽界の門"をくぐり神霊界へと旅立つ。

肉体の死から10分が目安だ。

生け捕りはとても困難な作業だった。


よし、奴らを迎え討とう。


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