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骸骨軍団  作者: ブルーベリージャム
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2話 剣を拾う

土と石の通路を進む。

どうやら、ここは地下墓地のようだ。

通路の側壁には3段の窪みが作られ、そこに骸骨が横たわっている。


俺に手持ちの魂があれば、この骸骨達は俺の下僕になるが、残念な事に俺はまだ魂を持っていない。


俺は前方に向けて歩いてゆく。

微かな風を感じる。

きっと出口があるのだろう。



いくつかの交差点を過ぎ、幾人かのゴーストとすれ違った。

この地下墓地は予想以上に広い。

ここに埋葬されている骸骨共を下僕にできれば、大軍団ができそうだ。


魂を集めなければ。


だが、虫や鼠の魂では役に立たない。

人が望ましい。

大型の獣でも良い。


待てよ。鼠の魂を鼠の死体に入れれば、鼠の魂でも十分に役立つか。


仲間だからと、人型の骸骨を増やすことを考えていたが、混成部隊でも良いな。


そうだ、あのゴーストの魂は、吸えるのか?

別物、と認識したが、あれは人の魂が魔物となった物だ。


俺の頭は固かった。

柔軟に考えなければ。


俺は振り返り、先程すれ違ったゴーストの場所に戻る。


いた。

青白い揺らめきの身体が、通路の脇に浮いている。


こいつの視線は、一体の骸骨に向いている。

どうやらこの骸骨に何らかの未練があるようだ。

さて。


「吸魂」


俺の伸ばした左手にゴーストの揺らめきが吸い込まれる、ことは無く、奴はそこに居る。


どうやらゴーストは死に瀕した状態の魂より強いようだ。


残念だが、今の俺にはゴーストを弱体化させる術は無い。

俺は再度、出口を探して通路を進んだ。



周囲の骸骨に皮膚が残っているエリアに来た。

彼らは新しい。

という事は、出口が近いという事だ。


俺は先へと急いだ。


ふと、一体の亡骸に目を留めた。

彼の亡骸の上には、金属製の方形盾が置かれ、さらに鞘に収まった剣が置かれている。

周囲を見ると、同じように葬られている亡骸が複数ある。


剣を手に取り、鞘から抜いて見る。

錆の無い、綺麗な剣身だ。

ありがたく使わせて貰おう。


左手に方形盾を持ち、右手に剣を持つ。

鞘は捨てた。

腰骨に括り付けようとしたが、上手くいかなかった。



微かな風を頼りに地下墓地の内部を彷徨ったが、どうやら出口らしき階段を見つけた。

石の階段を登ると、幅3m奥行き6mの石造りの部屋に出た。

部屋には扉の付いていない出入り口がある。

外は闇だ。

そして、森の中の様だ。


森の中を一本道が延びている。

ここは岩山の地下墓地なのだろう。

そして、道の先には、石造りの高い壁が見えた。

人間の街だ。


俺は盾と剣の具合を確認し、道を歩き始めた。



闇夜を照らす月の光は、今夜は隠れている。

俺は闇の中、街の出入口の前まで辿り着いた。


石壁の高さに比較すると、小さな両開きの木の扉が付いている。

馬車1台が通れるようなサイズだ。

こちらは正門ではないようだな。

忍び込むには好都合だ。


両開きの木の扉だが、一方の扉の中央には片開きの扉も付いている。

人だけが通り抜けるには、これを使うようだ。


その扉の上方には長方形の穴が空いている。

確認用の覗き穴だ。

今は内側から木の板で閉じられている。


これは好都合だ。


俺は剣先を覗き穴に合わせてから、盾で木の扉を叩いた。


ドッドッ

拳で叩くより重い音が響く。


足音が聞こえる。

一人だ。

スッ

覗き穴の木の板が開けられる音が聞こえると同時に、俺は右手の剣を突き込んだ。



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